十六章 後編
九頭竜川
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
一方景虎はというと。
「・・・・雨が降って来たわね」
「なんだか天が泣いてるみたいっすねぇ」
「そうね。・・・・行くわよ、柘榴」
「了解っすー」
一方撤退中の一葉たちは。
「・・・・追撃が止んだのか?」
「一真様が全て鬼どもを反撃中かと思われます。今のうちに距離を稼ぎましょう」
「しかし、この先は・・・・」
「最大の難所、九頭竜川ですね」
「・・・・有志以来、氾濫を繰り返し、崩れ川との異名まである暴れ川・・・・」
「しかも雨が降り、向後、名の通りの姿を現していくでしょう。素早く渡河しないとなりませんが・・・・」
「鬼どもが追いつくのが先か、渡河するが先か。時間との戦いですなぁ・・・・」
「だが、ここを抜ければ加賀は目の前だ。主様が時間を稼いでおられるのだから、早く渡らねば。小波、主様はどうなっているかわかるか?」
「少々お待ちを。・・・・未だに戦っておりますが、一人で戦っております。ご主人様とあとわかりませぬが、人とは違う何かと一緒に戦っているようです」
「一人でか。では、一真隊の指揮は余が引き継ごうと思うが構わんか?」
「はい。お頼み致します」
「うむ。・・・・聞け、共々よ!今、我らの背を守るため、余の主様である織斑一真が殿で奮戦しておる。貴重な時間を稼いでくれておるのだ!渡れ!ただひたすらに川を渡り、加賀を抜け越中を通り、美濃に帰るのだ!」
「渡河を開始せよ!」
鬨の声を上げて渡る兵たち。
「公方様・・・・お先に失礼致します」
「葵か。・・・・うむ。行けぃ」
「ご無礼」
「え・・・・殿さん、先に行っちゃうです?」
「ここは公方様にお任せするつもりです。・・・・綾那はどうしますか?」
「綾那は・・・・綾那はですね。一真様と約束したですが、最後まで信じてお守り致すと約束したです。だから、最後までここで待っているです!」
「・・・・分かりました。綾那たちはそれで構いませんよ。その身で、一真様の帰還を信じるのですよ」
「はいです!」
「歌夜、後を頼みます」
「はっ・・・・」
と言って、松平衆は渡河を開始した。一真は大天使化になっているところだろうな。
「おい公方。一真はまだ一人で殿をやっているのかっ!?」
「うむ」
「なんで一人でやってんだよ!?一真は俺達と言ったからなのに、一人でなのかっ!?それで退いて来たのかよ!?」
「そうだ」
「ガキ、落ち着け。まだ一真が死んだわけではないぞ」
「で、でもよーっ!一真を切り捨てて、オレたちを生きて長くさせるのが一真の使命なのかよっ!?」
「落ち着けって言ってんだよぉっ!ワシだって心配はする、だがな一真の目
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ