十六章 後編
足止め×幽のお家流×退いてからの攻撃
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俺は銃はしまっているけどね。
「さて。遥か昔、天の海には月の船、星の林に漕ぎ隠れ見ゆ、と詠んだ歌人がおったそうな。今宵の天の海はまさに歌の通り、穏やかな海。んん〜、素晴らしい。まさに雅趣溢れる夜!」
雲けっこうあるけどな。幽は何をするのかな?
「しかし、折角の雅趣溢れる夜も、その海を騒がせる無粋な客人が居るのは頂けませんなぁ。ここは一つ、無粋な客人にはご退場願いましょう」
いつもの調子で言いながら、幽は矢立から引き抜いた筆を懐から取り出した短冊の上に走らせた。
「か楢ず栃桐樒柿柾根葉椎て松よの杉袖桑うし(必ずと契りし君がきまさねば強いて待つ夜のすぎ行くは憂し)」
ゆったりとした口調で、幽は何やら歌を詠む。歌を紡ぐたびに、幽の身体から徐々に立ち上る氣だ。
歌の終わりと共に、その氣が周囲の樹木に飛び、染みこんでいく。
「歌道とは、言霊を乗せて万物の力を借りる呪い。十とは全ての意。・・・・十木とは即ち全ての樹木。天の海を荒立たす、野暮で無粋な客人は、木々の防人に追い払って頂きましょう」
普段と変わらぬ語り口。だけど、俺には分かる。これは木の精霊を操っているのか。木々は枝を伸ばし、根を波立たせ、迫りくる鬼たちの足や身体に絡みつく。
「これは何だ?」
「十木の御詠と言ってな。言霊を乗せた歌の中に、樹木の名を詠む事で、その木の精霊を操る呪い(まじない)だ」
「精霊を操るねぇ。俺がやっているようなものか」
「ふむ。ですがまだまだ不完全。・・・・やはり古今伝授の授けられなければ、完全とはならないようですなぁ」
「あれで不完全なのか。古今伝授って?」
「まぁ免許皆伝のようなものですな」
「これで不完全なのね」
周囲の木々から伸びてきた枝に、ある鬼は貫かれ、ある鬼は足を取られ、鬼の進撃が一気に止まった。
「不完全ってことは何か制限があるのか?」
「はい。不完全なために、精霊を操るのにも制限時間がありましてな。もうそろそろ切れるところかと」
「では、こちらが見本を出すとしようか。鬼どもよ、これでも喰らいな!ハードプラント!」
といってから、地面から出てきた根に貫かれて数十体を貫いた。続いてリーフストームで、葉が竜巻のようにして鬼どもに襲い掛かった。これはただの葉っぱじゃないんだよね、そのあとは草タイプのオンパレードで出した。エナジーボールやはっぱカッターとか。
「おお主様も、精霊の力を使っているのか?」
「いえ、隊長が使っているのはある生物の技をそのまま使っているだけです。さ、隊長がやっている間は進軍してこないでしょうから行きましょうか」
「あはは、一真は凄いの!後退なのー♪」
俺が技を放っている間に、場違いなまでに明るい鞠の声で、先に
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