十六章 前半
一乗谷への突破口
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「うむ。いよいよじゃな!」
「一葉様。・・・・少しは落ち着いて下さいますように」
「そうだぞ、一葉。まだ戦場じゃないんだから」
「うむ。気を付けよう!」
はぁー。注意しても目はキラキラしている。開戦を今か今かと待っている一葉の姿に苦笑していたけど。
「・・・・・・・(ゴクッ)」
「・・・・・ふー・・・・・・」
一部というより一葉と俺達黒鮫隊以外の者たちは、緊張の色を隠していない。これからやるのは決戦という大戦だしな。緊張で硬化していってるから、身体と心をほぐすためにいつもの口調で話す。
「雫、一乗谷とはどういうところ?」
「東西二町、南北一里程度。一乗谷川下流沿いの細長い谷間に築かれた城と城下町を合わせて、一乗谷と呼称されると、母に聞いたことがあります」
「雫のご母堂というと。黒田の職隆殿でしたか」
「母を知っているのですか?」
「風の噂程度には。・・・・律儀で温和、しかしながらその方寸には深みのある知恵を持つ賢人と聞いております。雫を見れば、その噂は本当だったと信じられますね」
「あぅぅ、あ、ありがとうございます・・・・」
褒める詩乃と、それを受けて照れる雫。二人の関係は良好に見える。
「谷の間にある町ねー。・・・・不便そうだな」
「多少の不便はありましょうが、一乗谷の南北は袋の口のように狭っており、外敵の侵入を拒絶する、まさに難攻不落の地でありますよ」
「難攻不落ねー」
難攻不落の堅城は、織田が落としたというより黒鮫隊の力があったから落とせたしな。稲葉山城に観音寺城は、両方とも降下作戦により簡単に侵入できたし。
「攻められづらいってことは、それだけ人が集まるってことなのかな?」
「ひよさん、なかなか鋭いですわね。一乗谷には、応仁の戦火を逃れた公家たちが身を寄せ、一時は北の京とまで呼ばれた町なのですわ」
「公家だけではなく、風流人や高僧、果ては高位ではあるが無力な侍たちも移住したと聞く」
「そんな一乗谷も今では・・・・」
ころの言葉に、一同の雰囲気が沈む。
「やれやれ。ころ殿は陣中の士気を落としたいと見えますなぁ」
「ううう、へ、変なこと言ってごめんなさぁい・・・・・」
「大丈夫だ。例え鬼がたくさんいおうとも、黒鮫隊もいるんだから安心しろ。それに一乗谷を取り戻すためにここまで来たのだからな」
「ハニーの言う通りですわ。鬼に占拠された一乗谷を解放し、越前を取り戻すことこそ、我らの使命!」
「そ、そうだよね!そのために私たちは上洛して、越前までやってきたんだもん!」
「そうだよころちゃん。・・・・一緒にたくさん頑張っちゃおう!」
「うん!」
「その意気だ。暗く考えないで前向
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