十五章 幕間劇
夜食
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「それより、弁当食っていいか?」
「はい。どうぞ」
「お弁当ですか!今日は誰が作ったです?」
「ころだって聞いたけど」
「ころですか!」
と綾那の元気な声を聞いてから、俺は弁当箱の蓋を取る。
「・・・・・・・・」
一杯に詰まったご飯に注がれるのは、綾那の熱い視線だった。
「・・・・・・・・」
箸を取れば、綾那の視線は自然とそれを追うように。
「綾那?」
「なんですかっ?」
そんなに食い気味に視線を注がれると困るんだがな。
「ほら、綾那。あんまりじっと見てたら失礼でしょ。・・・・すみません、一真様」
「それはいいんだが・・・・」
「良い匂いです・・・・」
「そうね。ころさんのお料理、美味しいものね」
「ん?ころの料理、食べたことあるのか」
「すみません。実は京や小谷にいたときも、綾那と一緒に遊びに来たことが何度か」
ふーん。そうなのか。でも、俺の料理はころのよりもっとうまいけどな。一度ころやみんなに食べてもらったら、やはり落ち込んでいたとか。女のプライドを粉々にさせるとか。
「まあその時は、俺も誘ってほしかったよ」
「一真様もお忙しいですから。・・・・だから今日も、ご飯がこんなに遅くなってからなのでしょう?」
「俺の場合は、回る所も多いし。直属部隊である黒鮫隊の長でもあるからな」
一真隊の仕事は大半は丸投げだけど、黒鮫隊の仕事はしっかりとやっている。明日の戦についての作戦会議や、何班か分かれるときも分断するとか。あとは照明弾の色とか信号拳銃を各人に配るとかな。
「そうして気を配ることも、なかなか出来ることはではないと思いますよ」
「それならいいけどな。ありがと」
「・・・・いえ」
歌夜が言った瞬間に腹が鳴った音がした。誰かと思ったら綾那だったけど。
「あぅぅ。良い匂いかいでたら、お腹空いたです・・・・」
「って、綾那。私たちはもうお夕飯は食べたでしょ?」
「ころのご飯は別腹ですよー」
「もぅ・・・。そんなこと言うと、一真様が食べづらいでしょ」
「別にかまわんが、一緒に食べる?」
「いいですか?」
「皆で食べた方が美味しいだろ」
おそらく一人で食べた後は、トレミーに戻っての仕事か寝るだけだし。それに明日のこともある。そういう意味では二人がいて助かるな。話し相手がいるから。
「でも箸が一膳しかないよ」
「ふぇ?一真様が食べさせてくれないですか?」
「それでいいの?」
「それがいいですっ」
「え、ちょっと、綾那・・・・っ?」
「まあいいか。で、何が食べたい?」
そう聞くと俺の弁当箱を凝視している。
「ええっと、え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ