十五章 幕間劇
あやとり勝負
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」
「烏は器用だけど、俺も器用だけどな」
「・・・・」
烏は小さく頷くと、雀に向かって手を伸ばした。
「ちょっと待っててね」
バッグの中に手を入れ、雀がもう一本、輪になった赤い紐を取り出す。それを受け取ると、烏は自分の片手に紐をかける。親指と小指にそれを渡し、器用に何かを編んでいる。しばらくするとその形はほうきになった。
「まあ!」
一旦崩してから今度は両手にかけて、五本の指で器用に動かして綱を作って行く。
「これは橋だね!」
雀の言うとおり、烏の細い指を渡るように橋がかけられていた。烏はそれを崩すことなく、くるりと中指を内側に折り曲げる。
「これは亀!」
「素敵!」
梅から、感嘆の声とともに拍手が上がる。俺は懐かしくて、頭にやり方を思い出していた。烏は気を良くしたのか、そのまま中指を外して広げたあと、交差しているところに人差し指と中指を入れ、手を広げた。
「伸びる紐だよ!」
烏が手を開いたりすぼめたりすると、紐が伸びたり縮んだり見える。
「どうなってるのかしら?不思議だわ」
梅の視線はあやとりで夢中になっていた。
「まだ、これじゃ終わらないの。ね、お姉ちゃん!」
「・・・・・」
最後の仕上げにとばかりに烏は素早く親指と小指にかかっていた紐を、もう片方の指にかけた。
「じゃーん、お魚でーす!!」
「本当だわ、お魚に見えますわね!」
「まだまだ、お姉ちゃんなら色々なものが作れるの。富士山でしょ、はしごでしょ、お日様に、白鳥!」
「へぇー、やるじゃん」
梅と俺は揃って拍手した。烏は照れたのかぺこりと頭を下げた。手先の器用さはこの前のりんごで知ったが、あやとりも出来るのか。俺はたまにだけどあやとりじゃなくて、ネイルとかをやっている。女性隊員にだけど。手先が器用だからネイルとかビーズとか色々と。
「私もやってみたいですわ!ねえ、教えて下さらない?」
「もっちろん!お兄ちゃんも参加するよね?」
「もちろん。それに自分用のがあるからな」
と言って取り出したのは赤い紐ではなく、カラフルな紐を取り出した。昔、女子たちと混ざってやっていたからな。
「わ!準備が早いね。しかも色が様々あるー!」
で、四人であやとり大会が始まった。俺は自分でやっているが、梅は教えながらだけど。
「・・・・・」
「では、まずは基本のほうきです!お兄ちゃんはもうやっているけど、梅ちゃんはお姉ちゃんの真似をして下さい!」
烏は梅に見やすくするように腕を突き出して、ゆっくりと紐を指にかける。俺は俺でやっていたけどね。昔やってたけどどの辺りが昔なのかは分からん。
「・・・こう、ここの指にかけるのが・・・意外
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