十五章 幕間劇
月見しながらの宴
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ね。
「一葉」
「うむ」
「一杯貰っていい?」
「幽」
「・・・・では一真様、まずは一献」
差し出された杯を受け取ると、幽はそこに透明な液体を注ぐが。飲もうとしたら、水の精霊が話しかけてきた。ふむふむ、なるほどな。
「これは、水か」
「おや、よくお分かりで。そこの沢で汲んできたものです。けれども、なぜ飲む前でお分かりに?」
「水の精霊が話しかけてきた。これは水だとな」
「精霊ですか。確か一真様は話しかけたり精霊に力を貸してもらっていますですかな」
「それに今は悪い気でいっぱいだ。悠長に酔う訳にはいかない。だから、せめて杯を傾けると?」
「当たりだ。それに清き水だ。そこらの酒より美味しい」
と言われ飲んでみたが、これが清き水ね。俺は水の精霊に頼んで力を溜めた物を杯に注いだ。
「それはいったい?」
「水の精霊に頼んで、本当の清き水、聖水を分けてもらった」
「余も分けては構わんだろうか?」
俺はいいよと言うと、水の精霊であるウンディーネを召喚して、一葉と幽の杯に聖水を入れた。注ぎ終えるとなぜか俺の隣にいたけど。召喚だから、一葉や幽にも見える。
「水の精霊なのか、姿は女性なのだな」
「性別はないが、ほとんどの場合美しい女性の姿なんだ。ウンディーネという」
そして飲むとたしかにさっきよりかはうまいと言っていた。俺が飲み終わると、ウンディーネはまた注いでくれる。
「ですが、清き水を探し当てるのだけですかな」
「そこだけか」
「ああ。後は、悪党を叩きのめす時には誰に叩けば一番多くおぜぜを落とすかもよく見ていらっしゃいますな」
「幕府の大事な油代だからの、そこを見逃したりはせぬ」
いやいや。もうちょっと正攻法で油代調達しろよな。
「・・・今更だが水杯なんだな」
「どうかしたか?」
「今飲んでるのは、神聖な水だからいいとして、俺がいた国いや世界か。あまり縁起がないことだからな」
盃で調べると出てくるんだが、命をかけた関係を形成する場合や、後に死に別れて会うことが出来ないことが予測される場面などでは、酒ではなく水を酌み交わす水杯が行われることもあるそうだ。でも今飲んでるのは神聖な水だから関係ないかもしれんが。
「案ずるな。ここはお主の知っておる国ではない。それに、縁起如きで先の事が決まるというのなら・・・足利も鎌倉もこれほど落ちぶれてなどおらぬわ」
「まあ、そりゃそうか。俺もだけど一葉も器が大きいな」
「そうだろう?」
「それは大きいというか、ただ単に底抜けではありますまいか」
「はははこやつめ。そのような事、どの口が申したか」
「ああ、酔った上での失言ですので、どうかお
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ