十五章 幕間劇
夜叉と酒飲み
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「言い当てられるとは、さすがやの。それにワシは人修羅じゃからな」
「・・・・人修羅?」
「うむ。ワシをそう呼ぶ者がおるらしい。修羅道、大いに結構、戦場こそが我が遊びの庭よ。まあ、南蛮坊主や乱が起こらずとも、まだ武田や上杉もおるし、中国や鎮西も手つかずだ。・・・・今川の小娘との約束も、まだ果たしておらぬのだろう?殿が天下に覇を唱えようとする以上、ワシの生きておる間くらいは戦が絶える事はなかろうて」
「そうだな。それに俺が何しここに来たのかさえ、時々忘れることもある」
天下統一は夢であって、ザビエルとは関係ないことだ。逆に今いる鬼がいなくなったあとは、各地の有力武将と戦うことになる。
「そういう平和がくればいいのだけど」
鬼の脅威が無くなれば、その先を構えなければならない。久遠も、葵も、眞琴も領土的な野心を持ってはいなさそうだしな。
「出来ればその礎となって華々しく散りたいものよ」
「そうはさせないよ。俺がいる以上は、そうはさせるかよ」
「一真。お主・・・・」
「俺は目の前で消える命は助けるものだ。それでなくとも神が許さないよ、自分で命を散るなど」
と言ってみたが、実際助けられるはずだった者たちを多く消滅させてしまったこともあった。だから、今の俺の立場では二度とそんなことさせるかよと誓ったのだ。
「一真」
「ん?」
杯の酒で軽く口を湿らせて。桐琴はさっきまで穏やかだったけど、今は厳しさの混じった様子で俺を呼んだ。ちなみに俺も飲んでるけどね、酒。
「天下布武などと囀っておるが、殿はまだまだ甘い」
「甘いか。そうだな」
「此度の一乗谷とて、確実に鬼どもを潰すのであれば、満月を過ぎてから攻めるのが上策に決まっておる」
それをしなかったのは、久遠が優しいからだ。久遠の優しさは、俺や桐琴にとっては甘いの一言だけど。
「一真も思うが、ワシも殿を嫌ってはおらん」
「それはわかっている」
桐琴、ここでは森衆かな。本当に久遠の甘さが気に入らないのなら、とっくの昔に織田から離れているだろうし。それをしないのは、桐琴が久遠のことを気に入っているからだろう。壬月や麦穂とはやり方も違うが、森家も久遠の忠臣。
「一真。お主は甘い殿の妻になるかもしれんところだ。しっかりと支えてやってくれ」
「言われなくても分かっているさ」
「さすが一真だ。いつも強気だからなのか、弱気と言う所を見ない。時には非情もあるということか」
「まあな。久遠の下せぬ判断も俺が厳しくすればいいことだし。顔色を変えれば、部下はついて来ないしな」
そうして、この後は情事をしてしまった。俺の恋人候補ならしても構わんと思ってな。でもさすがの桐琴なのか、今までしてきた者より
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