十五章 幕間劇
夜叉と酒飲み
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と話していたら、急に笑い出した。
「ははは。相変わらずお主は変わっておる。ワシがここまで苛ついておっても、知らん顔で近づいて来おる」
「いや、こんなの序の口なんだけど。それに本気の殺気だったとしても、俺には中和ができるしな」
「やれやれ。最初はお主がピリピリしてるだけかと思った」
「こんなのピリピリに入らないよ。まあ、他の者だったら近づきたくないと思うけど、俺だったら和ませることはできる」
「ふむ。さすがは人生の先輩だな」
ニヤリと笑う今の桐琴は、さっきまでの殺気はもうなかった。
「あれかな。一乗谷で楽しみを待っているからか?」
「まあそうだな。今日のことは軍議で決まったことだ。前座は壬月や麦穂が務めればよい」
壬月と麦穂を前座扱いか。
「クソガキは今日の城攻めにも加わりたかったようだがの。まだまだ待つ楽しみを知らん小童よ」
「まあな。桐琴と小夜叉を比べたら経験不足なのは小夜叉の方だ。もっとも、俺もだけど。大人と子供に経験の差はあるだろうな」
「ははは。違いない。だがお主から見てワシも小童と見ておるのでは?」
まあ確かに、俺は何千年も生きているからな。桐琴も俺から見たら、まだまだ若い人だなと思う。機嫌を直した桐琴であったが、笑みを消して再び真剣な表情になった。
「正直、この流れは気に入らん」
「だねぇ。俺も戦うのは好きだけど、差し出される首までは刈らないよ。そこまで戦闘狂じゃないし」
「ワシもそうだ。戦場で刎ねるのは好きだが、刎ねてくれと懇願されて差し出されても刎ねんよ」
森一家は殺人狂ではないから、少しだけ安心はできる。戦闘狂の集まりだと思えばいいしな。
「戦狂いのワシらでも、愉しい戦とそうでない戦くらいある」
「そうだな。なんかいまいちだよな」
「不愉快極まりないな。・・・金ヶ崎あたりは、これ見よがしに餌をぶら下げられておるようであったわ。殿もそれにがっつきおって。何を焦っておるのか知らんが、いつもの殿とは思えん」
やっぱりそう思うか。俺もいや俺たちもそう思っている。目の前にぶら下がれた餌にまんまとはまることに。まるで、餌を目の前で誘導されて、後ろから何かがあるとは思っていることだ。
「エーリカに聞いたところによると、鬼達は満月が近づくと力が増すようだけど」
「ふむ。言われてみれば、確かにもうすぐ満月よの・・・。それを狙っておると」
「まあ俺からすれば、満月を狙って戦った方が歯ごたえあるけど。他の兵や将にとっては脅威らしい」
「お主の言うとおりよの。少々強くなったからと言って、捻り潰せば同じこと。それに一真と鬼退治したときは、満月であったからの」
まあ、そうなんだよね。エーリカが言うには満月前に狙った
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