入学編〈下〉
退院祝い
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ね〜」
「エリちゃんの言う通りかもしれない。あたしが、織斑君に恋していたんだと思う」
「おおぅっ?」
壬生先輩の告白に、一番白黒していたのはさっきまで頭を抑えていたエリカだった。
「あたしが憧れた、揺らぐことのない強さを持っているから。でも憧れるのと同時に怖かったんだと思う、あたしがどんなに一所懸命走っても、織斑君にはきっと追いつけない。織斑君みたいになるには、あたしはずっと走り続けなきゃいけなくて、どんなに走ってもあんな風に強くはなれない。いっぱい感謝してもらって失礼な言い方になっちゃうけど。そう思った」
「・・・・分かる気がするよ。一真君の強さは最早次元を超えているって事をね、あたしも追いかけても追いつけないってことが」
次元を超えているっていうのはな、まあ確かに最強の座は俺?なのかもしれないけど。それにここにいる者で一緒にレールで走れるのは深雪と蒼太と沙紀ぐらいだろう。それくらいの強さを持っているのは事実無根だし。
「桐原君は・・・・まともに会話をしたのは、お見舞いに来てくれた時が初めてだったけど、多分この人なら、喧嘩しながらも同じ速さで歩いてくれると思った。だからかな・・・・」
「・・・・ごちそうさま」
ちゃらけた言い方ではあるが、まとまったと言って良いほどだ。そのときの壬生先輩は一真の演じていた「可愛らしい女の子」から「本当に可愛い女の子」と認識を改めた。
「ねえ、桐原先輩は?いつからさーやの事が好きだったの?やっぱりあのとき十文字先輩に言ってたことなの?」
「・・・・うるせー女だな、あとそれは言うな。それに別にいいだろうが、そんなことお前には関係ねえ」
「そうだぞ、エリカ。過去を振り返るというより、いつからなんて関係ない」
それまで口を挟もうともしなかった一真だったが、突如とした教訓のような事を言い人の悪い口調で言いだしたのか、エリカの頭に疑問符が付く。
「大切なのは、桐原先輩が本気で壬生先輩に惚れていたということだ。それも随分前からの様子ではあったな」
「なっ!おまっ?」
「これ以上詳しい事はプライバシーに関わってくるから言えないが、ブランシュリーダーに見せたあの怒気に勇士は男として敵わないなと思ったよ」
「そっか・・・・。ねえ、一真君」
「何だ?」
「後でこっそり教えてね」
とエリカがそう言ったあとに、一真とエリカの目線が桐原先輩に向けられていた。
「千葉、テメエ!織斑も、あの時のも喋ったら承知しねえぞ!」
「喋りませんが、データとしては残っていますよ。まあこのデータもですが渡しませんし、喋りもしませんよ」
「えーっ、いいじゃない」
「このアマぁ!」
猛り狂う桐原先輩ときゃあきゃあ言っては逃げ回
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