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魔法科高校〜黒衣の人間主神〜
入学編〈下〉
退院祝い
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先輩がエリカのトークに追い詰められていたからである。

「はい。小父様、失礼致します」

深雪の「小父様」という人称に、壬生先輩の父親は動揺を隠しきれていなかったが、何とか無難に返事を返した。無論一真と深雪は気付かないフリをしていた。少し離れたところで、壬生先輩の父親と向き合った。深雪を外させたのは、一真の気配りというのは理解していたので余計な前置きはしなかった。

「織斑君、君には感謝している。娘が立ち直れたのは、君のお陰だ」

「私は何もしていませんよ。壬生先輩を説得したのは、妹と千葉ですし。入院中に先輩の力になったのは、桐原先輩です。そして突き放したのも事実ですし、私はただ誘導したかに過ぎません」

「それを言うのなら、私は突き放すことすらできなかった。魔法が中々上達しないことを娘が気に病んでいたのは知っていたが、私はそれを然して重要な問題だと考えていなかった。魔法技能の評価と実戦の強さは別物だという自分の経験則に囚われて、娘がどれほど悩んでいたか、本当は分かっていなかった。それどころか、忙しさを口実にして、おかしな連中と付き合い始めた娘と向き合おうともしなかった駄目な父親だ。今回の事は、一通り娘から聞いたよ。娘は、君の話を聞いて、久しぶりに迷う事を思い出した、と言っていた。それが悪夢から醒める、きっかけとなったと。そして娘は君に感謝していたよ。無駄ではなかった、と言ってもらえて、救われたと。それが何を意味しているのか私には分からなかったが、娘の感謝が本物である事だけは分かった。だから、言わせてほしい。ありがとう」

まあそう言われると、俺もそっち側だったら感謝しているな。俺も父親の身でもあるからなのか、それとも同じ娘を持っているから気持ちが分かるからなのかは分からなかった。

「その気持ちに答えて言いますと、どういたしましてです。私が言った事に関して救われたのなら、無駄ではなかったと思いたいですな」

「やはりというか、君は風間に聞いていた通りの男なのだな」

そのセリフを聞いた瞬間に冷静さを無くしたのに奪うのは十分すぎることだった。

「ほう。風間少佐を知っているのですか?」

「私は既に退役した身だが、兵舎で起居を共にした戦友だよ。歳も同じでね。未だに親しくさせてもらっている。そのセリフを聞くと私と風間のことが知り合いだったと知っていたように聞こえるんだが」

ただに戦友が「親しい」だけで玄信が一真の事を話すことはないと。それと少しミスった事だったけど。

「ええ知っていましたよ。私は蒼い翼の関係者である事を、それで調べてもらったんですよ。壬生先輩の父親はどんな人で、どんな職業についてるかを興味本位で。それに風間少佐との出会いは三年前の沖縄海戦でしたし」

「ああ、やはりか。日本の裏側で暗躍
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