入学編〈下〉
退院祝い
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ろにいると分かるぞ。それより桐原先輩があんなにマメな性格だとは思わなかったが。やはり告白する時機でも狙っていたか」
「気配で分かっちゃうのは分かっていたけど、そんなのだからさーやに振られちゃうのよ」
「振ったわけではないぞ。ちゃんと断りを入れたくらいだ」
エリカはホントなのか?という目付きをしていたが、俺は既にパートナーはいるからな。
「それよりエリカ、『さーや』ってもしかして、壬生先輩の事なの?」
問いかけの声は、深雪の方が一歩早かった。
「んっ?そうだよ」
「・・・・いつの間に、親しくなったんだな」
「任せて」
何を任せてなのかは分からんが、とりあえずまずは壬生先輩の退院祝いをしに来たのだから。花は深雪が持っている。
「壬生先輩」
後ろに深雪にエリカと蒼太、沙紀を引き連れて人の輪の中に入って行った。
「織斑君!来てくれたの?」
少し驚きの顔だったけど、意外という顔をしていた。という表情で語りながら壬生先輩は俺を満面の笑みで迎えてくれた。隣にいた桐原先輩はというと、一瞬だがムッとした表情を浮かべながら冷や汗をかいていた。たぶん、やっぱり告白したんだと聞かれるんじゃないのかと思ったに違いないな。心眼で、そう感じたからだけど。あんまりしょうもない事で使いたくないんだけどな。これは神の力の一つなのだから。
「退院おめでとうございます」
深雪が両手に抱えていた花束を渡す。本来ならデリバリーでもいいんじゃないかという人もいるだろうけど、こういうのは手渡しの方が気持ちが伝わるからだ。こういうのは百年前から変わっていないなと思ったけど。そして嬉しそうに受け取る壬生先輩を見て、やはりこういうのは手渡しが一番と思った。
「君が織斑君かね」
女子高生同士のお喋りを聞いていたら、壮年の男性が話しかけてきた。この人はデータで見たことあるが、確か内閣府情報管理局に所属している人だったな。外事課長で外国犯罪組織を担当していると、蒼い翼関連の者から聞いたな。引き締まった身体とブレのない姿勢は何かしら武道をしていたに違いないと思った。
「私は壬生勇三、紗耶香の父親だ」
「初めまして、織斑一真です」
「妹の織斑深雪です。初めまして」
俺が挨拶したので、それを察知したのか深雪と蒼太と沙紀も軽く挨拶をする。蒼太と沙紀については、何か知っていそうな顔をしていたけど護衛付きと言うと今年度の一年生は護衛付きだと言う事を知っていたのか納得した顔をしていた。深雪は丁寧な挨拶というか、優雅な挙措に少したじろいだがすぐに表情を引き締めたからさすが武道家だなとね。壬生先輩の剣はおそらく父親譲りなのだろうと。
「深雪、エリカを見ていてくれないか」
一真に言われ振り返ると、桐原
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