入学編〈下〉
公開討論会当日
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二つだと思います。そしてここに来た織斑君は、学校側でもあり蒼い翼から派遣された人間です。そして彼の手に持っている携帯端末からある御方を紹介したいと思います」
俺はスピーカーモードとして、電話をかけているかのように見せかけて俺が話しているかのように見せたのだった。
『マイクテストマイクテスト。聞こえているかな、諸君』
「聞こえておりますよ、零社長」
とあるキーワードを言ったので、講堂にいる生徒が皆驚愕の声を上げた。
『講堂にいる全ての生徒の諸君に挨拶を申したい。私の名は零達也。大企業である蒼い翼のCEOをしている。それで私を呼んだのは何かな?七草会長』
「せっかくなので、零社長と共に私の希望を聞いてもらいたいと思います。生徒会には一科生と二科生を差別する制度が、一つ残っています。それは生徒会長以外の役員に関する制限です。現在の制度では、生徒会長以外の役員は一科所属生徒から指名しなければならないことになっています。この規則は、生徒会長改選時に開催される生徒総会においてのみ、改定可能です。私はこの規定を、退任時の総会で撤廃することで、生徒会長として最後の仕事と共に零社長と一緒に学校の規則を変えたいと思います」
どよめきが起こった。生徒たちは野次を飛ばす事を忘れたかのように、前後左右にいる生徒同士で囁きを交わしていた。会長はそのざわめきが自然に収まるのを無言で待っていた。俺=零社長も同じ事だったが。
「私の任期はまだ半分が過ぎたばかりですので、少々気の早い公約にはなりますが、人の心を力づくで変えることはできませんし、してはならない以上、それ以外のことで、できる限りの改善案に取り組みながら、零社長にお約束致します。先程言った公約は絶対に果たしてみせます」
『その公約、聞きました。そして共に学校経営者となる私を始めとする者たちと共に、問題解決に時間は無限ではありませんが、出来る限り一緒に問題解決させることをここに宣言致します!』
七草会長と零社長の宣言を聞いて一科生と二科生も、同盟の支持ではなく七草会長と零社長を支持することが明らかとなった。会長が訴えたのは差別意識の克服。そしてそれを支援する学校側と青い翼。同盟の行動は、確かに学内の差別を無くしていく方向へ足を踏み出すきっかけとなった。ただしそれは、同盟が望む変革とは正反対なモノだ。革新派は往々にして、目的の達成だけでは満足しないものだったし、彼らは自らの思い描いた手段で目的を達成させる輩だ。この結末に対して同盟側とその背後にいる者たちが何もする訳ではないと思った一真は、携帯端末をしまってから講堂に轟音が鳴ったのだった。
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