入学編〈下〉
公開討論会前日×同盟による調略活動
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んで賛同者を多く確保するのは当然の事だ。自分に無関係なところで精神的に未成熟な高校生を情緒的な言葉で錯覚させて底なし沼に引きずり込む行為に干渉するつもりはさらさらなかった。
「中には強引にしてでも賛同者を集める者もいるようですね」
「そうだな。俺も二科生だが、声を掛けるのはこれを見れば一目で分かるだろう」
と指差したのは腕章である。強引なのは、「君も日頃から二科生の待遇に疑問があったんだろ?」「我々には君の応援が必要なんだ!」とかだったけど。声をかけられた人達は困惑気味であったが。とその時知り合いの顔がいたので声をかけた。
「美月」
討論会前日の放課後、右手に例のリストバンドをしていた、三年生と思しき者に話しかけられて困惑顔であった。美月は画集らしきものを抱えていたのか、部活に使う資料を何処からか調達したのかは分からないが。今世はデジタルな時代であるが、俺らみたいに紙の本を愛用しているのは少なくない。それに美月が抱えているのも、美術部で使う物だと理解したが、この学校の美術部は随分とこだわっている部分があるようで。
「あっ、一真さん」
俺の姿を見たのか、美月はホッとしていた。その顔から見るに相当な時間にて、拘束していたように思えた。俺はその上級生の首から下にかけて見たが、あの時遭遇した者に間違いないと思った。長身で痩せ型に見えるが、武術で鍛えた身体をしていて俺と蒼太は、こいつがあの時の者かと思った。
「風紀委員会の織斑です。あまりの長時間に渡る拘束は迷惑行為にあたるので、お控えください」
俺は美月に事情を聞くことなく、その上級生に話しかけた。その上級生には、左胸にエンブレムがない。それとあれは伊達メガネではなさそうだ。
「柴田さん、僕の方は何時でもいいから、気が変わったら声をかけてくれると助かる」
そう言った上級生は紳士的に言ってから立ち去った。立ち去るのを見たあとに、俺は経緯を聞いた。
「あの人は誰だ?」
「剣道部の主将さんです。お名前は司甲さんとか。・・・・私と同じ『霊子放射光過敏症』で、同じように過敏感覚に悩む生徒が集まって作ったサークルに参加しないかって」
美月の目の事については、既に理解していたので驚きはしなかったが。それを自分から打ち明けるとはなと。
「それで同じ悩みを持つ同士で分かち合おう、と?」
「いえ、司先輩はそのサークルに入って、症状が随分と改善したそうで、私の為になるのではと」
「それはなんとまた」
聞くだけでもそれは胡散臭い話だと思った。胡乱ともいうが。口にしなくても分かるが、魔法的な感覚が鋭すぎることによる弊害は、その知覚能力をコントロールすることが唯一の対処法でもある。能力を制御できる為には、正しい訓練が一番の近道でありそれが
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