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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第10話 「灰色の覇王vs純白の騎士」
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け止めた零は無表情のまま。その様子に一夏は違和感を覚える。

(あれ?セシリアの時と違うような・・・。)

一夏の表情の変化に気づいた零はニヤッと笑う。零は一夏をグイッと引き寄せる。零は思わずバランスを崩した一夏の顔面に拳をめり込ませ、後ろに傾いた一夏をドロップキックで吹っ飛ばした。

『なかなか察しが良い。人格が変わってないのに気づいたみたいだな。』

一夏が姿勢を整えたのを確認した零は休憩とばかりにこう言った。薄ら笑いを浮かべながら一夏を見下ろしている。

『ああ。セシリアの時と違って大人しい気がしてさ。それにさっきから武器も使ってないしな。』

一夏も応対する。しかし、余裕を見せる零と違って『雪片弐型』を構えたままいつでも突撃できるように身構えていた。

『武器に関しては俺の意思じゃない。千冬さんの指示だ。』
『千冬姉の?』
『また怒られるぞ、お前・・・。今回のノルマだよ。「強化パッケージ及び一切の武装の使用禁止」だってさ。』

だけどさ、と零は言葉を続ける。零からすれば、むしろこの後が本題だった。

『ちふ、じゃなかった、織斑先生は厳しい人だが、生徒に無理難題を押しつけるような理不尽な人間ではないよな?』
『・・・何が言いたいんだよ?』

努めて平静を装う一夏だが、隠しきれず思わず『雪片弐型』を握る手に力がこもる。一夏も分かっていた。だが、受け入れられない。受け入れてはいけない。零が放つであろう次の言葉を、一夏の頭は激しく拒絶していた。

『お前がそれだけ弱いってことだよ、一夏。俺の人格が変わらないのもこれを戦いと認識していないからだ。俺からすればお前との試合なんて遊びでしかない。いや、遊びにもならないか。』
『黙れ・・・。』
『しかも織斑先生もそれを認めてる。ブリュンヒルデ公認の弱者ってか。はは、哀れなもんだなぁ、一夏。』
『黙れって言ってんだろうが!』

限界だった。零の言葉が終わるや否や、怒号と共に一夏が零に突進していった。鬼の形相で怒りを露にする一夏に、零は黙って凍てつくような視線を浴びせていた。

『分かりやすいなぁ、お前は。』

挑発に対する反応があまりにも予想通りだったので、零は呆れてしまった。しかし、そんな状態でも油断はない。彼は一夏の斬撃を事もなげに回避し、避ける度に確実にカウンターを叩き込んでいく。

『ぐっ・・・!このっ・・・!』
『いい加減にしろ、馬鹿。棒切れをがむしゃらに振り回すなんて幼児でも出来るぞ。もっと考えろ。』
『うるせぇ!千冬姉から受け継いだ『雪片』を棒切れなんて言うな!』

零の言葉でどんどん怒りを募らせていく一夏。それに伴って剣筋も戦い方もさらに粗雑になっていく。もはや子供のチャンバラの体を呈している。零にとってはまさしく児戯である
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