入学編〈下〉
居残り実習×遅い昼食
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もかく剣術はエリカのとこの道場とあまり変わらない。
「・・・・お説はごもっともだと思うけどよ、俺もオメエも、ついさっきまで蒼太さんに教わってたんだぜ・・・・?」
「あ痛っ!それを言われると辛いなぁ」
レオの指摘に顔を顰めつつも、あっけらかんとした調子は変わらない。
「それはそれ、背に腹は代えられない、ってことも確かにあるけどさ・・・・教わるには、教わる相手に相応しいレベルがないと、お互いに不幸だって思うのよ。まっ、一番の不幸は、教える側が教えられる側のレベルについていけないことなんだけどね」
ここでパチリと、意味ありげなウインクであり、俺はニヤリとして人の悪い笑みを返したけど。
「残念ながら、今日は不幸な結果ではあった。最終的な記録は、俺よりエリカの方が100ms以上、速かったし。蒼太もテロ相手には戦闘技術はあるのに、教えてと言われてもあんまり教えられないんじゃなかったけ?」
と蒼太に聞いたけど、エリカのこめかみから、一筋の冷や汗が流れた。
「あ、いや、あたしは、そういうことを言っているのでは・・・・・。あ、そうだ。蒼太さんに聞くことがあったんだ。さっきの種明かしを聞いていない!何で手を重ねて置いただけで、あんなにタイムが上がったの?」
強引な話題転換した。話を逸らそうとしているのは、誰もが分かることだったけど。ツッコミ過ぎると後々しこりを残しそうな話題だったから、俺は自然と逸らしたけど。で、答える側の蒼太は俺を見ていたので、俺が話すことになった。
「俺が代わりに答えよう。何、指示をしたのは俺だからな。エリカが片手で握るスタイルのCADに慣れているからだ」
ホントは蒼太の「種明かし」のはずが俺が指示したということで、明かしたがエリカは「えっ?」と声を上げて話の腰を折った。エリカの顔には「何でそんな事知っているの?」と書かれていた。エリカは忘れていると思うけど、入学して二日目の帰りに森崎と相対したときのアクションとCADそのもの形状から、CADの使用スタイルは簡単に推測ができる。エリカの些か大袈裟な反応をスルーした俺は説明を続けた。
「両手を置くスタイルの授業用CADには、スムーズにアクセスできないと思っただけだ。それを授業中に見たあとに、蒼太にそう指示させた。まあ蒼太は教えられる技量もあるんだし」
「それで、両手を重ねさせて、接点を片手にしたんですね・・・・。それと一真さんより蒼太さんの方がCADをよく使いますからね」
美月が頷きながら感嘆を漏らしたと同時に、蒼太についての技量も感心していた。あとは同じ表情を浮かべたのは、彼女だけではなかったけど。
「片手を置くスタイルでもよかったけど、手を重ねるスタイルの方が気合が入るんじゃないかと思っただけだ。要するに気分の問題だ」
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