入学編〈下〉
居残り実習×遅い昼食
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「ほい」
レオとエリカに向かって、そのまま差し出す。
「なぁに?」
「サンドイッチ・・・・か?」
袋の中身は購買で売ってあるサンドイッチと飲み物だった。
「食堂で食べると午後の授業が間に合わないからな。急遽、深雪たちに買ってくるように頼んだのさ」
そう言いながら、俺と蒼太はそれぞれの弁当箱を深雪と沙紀から受け取る。
「ありがと〜。もうお腹がペコペコだったのよ!」
「一真、お前って最高だぜ!」
現金な友人たちに苦笑を浮かべながらも、俺と蒼太は近くの椅子に腰を下ろしていたが美月は遠慮がちな事を言った。
「・・・・でも、いいんでしょうか?実習室での飲食は禁止なのでは?」
「飲食禁止なところは情報端末を置いてあるエリアだ。校則にちゃんと書いてあるぞ、教室内の飲食も特に禁止ではないし」
「えっ、そうなんですか?」
「実はそうなんだよなー。校則集をよーく見るとそう書いてあったのさ、俺もてっきり禁止されているものばかりと思ったから意外だった」
箸を取りながら悠然と答える俺に対して「それなら」と言って美月も手を伸ばす。
「へぇ・・・・そうと分かれば遠慮なく」
レオがサンドイッチの包装を解いてガブリと噛みついていると。
「アンタは最初から遠慮してないでしょ」
エリカがツッコミを入れながら、意外に上品な仕草でサンドイッチをついばんだ。和気藹々と、テーブルというのはないから適当に椅子を寄せて、遅い昼食を食い始める俺達居残り組一同。特に蒼太はガッツリと食いながら、飲み物を飲んでいた。居残り実習でレオとエリカとの指導をしていたから、結構喉が渇いていたらしい。深雪たち差入組も、飲み物だけ持って、その輪に加わってた。
「深雪さんたちは、もう済まされたのですか?」
「ええ。お兄様に、先に食べているように言われたから」
気を遣ったのであろう美月の問いかけに深雪がそう答えを返すと。
「へぇ、チョッと意外。深雪なら『お兄様より先に箸をつけることなど出来ません』とか言うと思ったのに」
ニコニコと言う割にはニヤニヤと笑いながらエリカが茶々を入れた。本気でないのは、顔を見れば分かった。聞いていた方も、本気にはしなかったが結一人を除いて。
「あら、よく分かったわねエリカ。いつもならもちろん、その通りでお兄様と蒼太さんと沙紀さんとセットで食べるんだけど今日はお兄様のご命令だったから。私の勝手な遠慮で、お兄様お言葉に背くことはできないわ。だから先に私と沙紀さんとあとほのかと雫と一緒に食べたわ」
「・・・・・いつもなら、そうなんだ・・・・・」
「ええ」
「・・・・・もちろん、なのね・・・・・?」
「ええ、そうよ?」
笑顔が引き攣り気味にな
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