入学編〈下〉
居残り実習×遅い昼食
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うな、レオ。的の位置は分かっているので、いちいち目で確認する必要性はありません」
「わ、分かったぜ。よし、次こそは!」
「二人とも。頑張れよ〜」
蒼太と美月が計測器をリセットしている傍らで、目を閉じる、腕を振り回す、それぞれの方法で精神を集中し、気合を高めるレオとエリカだった。俺は壁際に立っていたが、主に応援のみだ。その時ドアが開いたので、俺はドアの方に向けると遠慮がちにした深雪たちが立っていた。
「お兄様、お邪魔してもよろしいでしょうか・・・・?」
声の主が妹だと分かり、手を挙げた俺。二人分ではない足音がしたので振り返るのはエリカだった。
「深雪、・・・・と、光井さんと北山さんだっけ?」
「エリカ、今は集中する事だけを考えろ。悪いが、深雪。次で終わるらしいから、少し待て」
「いっ?」
「分かりました。申し訳ございません、お兄様」
深雪の方に行って謝罪のような感じで言った俺に、深雪は微笑んで軽い一礼を返した。さり気なく掛けられたプレッシャーに、レオの顔が引き攣った。深雪が後続の二人に合図してドアの陰に身を隠す。それを見た蒼太は小さく頷いた。
「二人とも、これで決めますよ」
声を張り上げる必要はないが、有無を言わせぬ口調。
「応!」
「うん!これで、決める!」
二人は気合を漲らしてから、CADのパネルへ向かった。
「ようやく終わった〜」
エリカの歓声が、課題終了を告げる鐘の音となった。
「ふぅ・・・・ダンケ、蒼太さん」
レオの謝辞に蒼太は気にしない感じで礼を受け取った。俺は深雪のところに行き声を掛ける。笑顔を浮かべて歩み寄る深雪に、遠慮がちながらも二人のクラスメイトである光井ほのかと北山雫もその笑顔で続いた。沙紀は深雪の後ろでビニール袋を持っていたけど。
「二人とも、お疲れ様」
「一真様。ご注文通り揃えた参りましたが、足りないのでないでしょうか?」
レオとエリカにそう言った深雪と俺にそう告げる沙紀。そう問いかけたので、俺は頷いた。
「もうあまり時間ないからな、このくらいが適量だ。ご苦労だった、沙紀。光井さんも北山さんも手伝わせて悪かった」
もう顔合せしているから言葉を交わす程度の間柄にはあるが、俺は深雪の友人としか見ていない。深雪の仲介がなければ、知り合わなかったからか俺にとってはまだまだ友人未満の二人だ。俺の口調がそうなったのもしょうがない事だと思うし。
「いえ、この程度のこと、何でもないです!」
「大丈夫。私はこれでも力持ち」
予想外に力が入っている答えを出した光井さんと、本気か冗談か分からず仕舞いの北山さん。俺は二人にもう一度礼をしてから深雪と沙紀を含めた四人からビニール袋を受け取った。
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