第四章
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じゃん? 向こうが悪じゃん?」
「侵略する側にも正当性はある。侵略による利益を得て国を豊かにするという正当性がな」
「……え? それ、おかしくね?」
葵・トーリが腕を組んだ。
トーリは皆に対して、おかしいよな? と確認を取った後で頷いて言った。
「何で侵略された側のことが考慮されてねぇんだよ。まるで、侵略された側が、狩りにあった獣とか、それと同じじゃね?」
「そうだ。侵略された側が考慮されないのは、侵略された側が侵略国と対等であると示す、主権を持ってないからだ。トーリのいった土地と人があっても主権を持ってない国は、国家間において、国と認められない。国と認められない以上、そこに住む人々も人として認められない。つまり、主権を持たない土地に集まった人々は、獣が集まった集合地として扱われるわけだ」
確か、本で読んだなぁ。
その本をユーキも読んでいたらしい。
「いいか、トーリ。国の主権として必要な能力が三つ。三つだ。覚えろよ?
一つ、他国と対等になるための独立を提示する能力。
一つ、国を存続させるために、領土と人民に対して統治を貫徹する能力。
一つ、前者二つを支え、意志決定する能力。
三つそれぞれを、対外主権、対内主権、最高決定力と言う。
他国と対等であり、国内を統治して、更にそれを行うための力があるものが独立した国家だ。それを脅かすものは国と国のつながりにおいて違法とされる。ここまでの条件を揃えてやっと、国として認められる」
ユーキの言う通りだ。
……政治系の家じゃないのに、良く勉強してるなぁ。
正純は感心しつつも立ち直ったので、葵・ユーキの代わりに続きを述べる。
「ここからは私が言おう。今、極東は領域と人民の殆どを奪われている。更に、主権を作る三つの力も、侵害されている状態だ」
「そうなの?」
……そうなんだよ、馬鹿。
どこでどう違えば兄と弟でこうも差がでるものなのか。
「トーリ。お前が馬鹿なのに、最高決定力のある総長と生徒会長になったのが聖連の干渉だ」
「ああ、俺後押しされたから気付いてなかった。あれ、干渉なのか」
「干渉だったんだよ。他にも、対外主権も干渉受けても抵抗出来ねーから他国と対等じゃねーだろ?」
「そうだなあ」
わかってるのか?
「それを踏まえて対内主権を言うなら、極東の大部分を各国に暫定支配され、居留地も支配地域の国に干渉され、更には武蔵も今、他国の手によって移譲されようとしている。つまり、対内主権の要である領土と人民の統治なんてろくに出来てないことになるだろ?」
「そうだなぁ」
……わかってないよな? 絶対わかってないよな?
そう思うが、話を続けるしかない。
「トーリに分かりやすく言えば、他人の選んだエロゲしか選べないし、他人の選んだエロ
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