第四章
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人々が臨時生徒総会の最後の相対を無視出来無くなった。
「さて、最後の相対だな――」
武蔵アリアダスト教導院で行われる臨時生徒総会は、最後の相対を前にわずかな準備時間に入っていた。
駆けつけてきた暫定議会の議員達が階段を上がって校庭の右舷側に集合していく。
校舎側では葵・トーリを中心としてそれぞれ表示枠《サインフレーム》を展開して情報の収集を行なっていた。
「暫定議会側がとうとうこちらに出てきたね。少なくとも密室で全部決まるより、良い傾向かな」
「そこらへん、セージュンに聞いてみてぇもんだな。あと……兄ちゃんにもさ」
何かを思いついたのか、葵・トーリは座ったまま、頬杖をつき、アデーレに頼み事をした。
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「アデーレが消えたな。何か使いを頼まれたみたいだな。俺の菓子と飲み物も頼めば良かったな」
「ユーキは緊張感がないな……」
葵・ユーキはいつも通り、背筋が伸びており、姿勢が良い。
風になびく後ろ髪が揺れる。
正純は、相対を討論によるものにする心算だ。
葵・ユーキがいるが、あくまでも彼は補佐役なのだ。
「最終通告だ。あちらに行くなら今しかないぞ」
「ネイトみたいに? それはない。俺は弟、トーリを――」
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「じゃあ、皆、とりあえず目的はこうだ。セージュンと兄ちゃんをこっちに引きこむ」
葵・トーリは何故兄である葵・ユーキが敵側なのかを聞かなかった。
「俺、自分じゃ何も出来ねぇけど、だからこそ、今、誰が何出来るかはちょっとは解るんだよな。セージュンと兄ちゃんが仲間になったらさ、俺達かなり無敵だろうって思うんだよ」
「大丈夫ですの? ユーキはともかくとして、正純は複雑な立場ですのよ?」
先程の相対により、ミトツダイラは葵・トーリ達の側へ移動していた。
移動した直後に浅間・智などに何故葵・ユーキが敵側なのか問われていたのだが、その回答は出来なかった。
「オマエ、こっちに来られただろ? 同じだよ」
騎士を辞め、市民になることにより、三河の次期君主を逃れつつ市民革命を推進させる目的だったのだが、見事に失敗していた。
「ですが、総長。正純とユーキですけど、厄介ですのよ?」
ミトツダイラは言った。
「ユーキは何故か敵側ですの。まあ、ホライゾンを救うことを考えて、敢えて敵側というのが私の推測ですの」
彼は相対の前、後悔通りで言った。
ホライゾンを救ったら、私とマサにゲンコツをすると。
「あの、総長。何がおかしいんですの?」
葵・トーリは微笑んでいた。
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葵・ユーキの推測は大まかではあるが、想定の範囲内で動いていた。
……ネイトと直政が来ても来なくてもそれほど流れに影響はないな。正純が決着を付けるのには変わりない
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