第二章
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こうして彼は美有のエスコートをすることになった。彼の後ろで表情を変えずに静かに歩くだけであった。恭輔はそんな彼女を何か人形のように思っていたがそれは口には出さなかった。見学はすぐに終わってしまったが最後の校門のところで言われたのだった。時間はもう夕刻になっていてかなり日が落ちようとしていた。
「有り難う」
美有はやはり無表情で恭輔に礼を述べた。
「おかげでこの学校のことがよくわかったわ」
「そうなの」
「そうよ。貴方のおかげよ」
また礼を述べた。
「このお礼はきっとするから」
「ああ、それは別にいいよ」
彼はそれは断った。
「別にね」
「そういうわけにはいかないわ」
しかし美有はそう言ってその拒否を許さなかった。言葉が強くなっていた。
「お礼はしないといけないから」
「けれど」
「けれどもどうしたもないの」
やはりそれも許されなかった。言葉がさらに強くなっていた。
「わかったわね」
「う、うん」
「それでね」
大人しくなってしまった恭輔に対してまた告げる。
「明日の朝だけれど」
「明日の!?」
「そう、明日」
都合がいいと言うべきか悪いと言うべきか。その日は休日だった。しかも恭輔にはこれといって予定もない。これでは断ることもできなかった。
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