入学編〈上〉
巡回×取り締まり
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よ。そろそろ大人しく見学された方がよろしいかと」
俺とエリカもだが、少々声量が大きかったようだから無言でフロアに視線を落とした。レギュラーによる模範試合はなかなかなもんだった。中でも目に止まったのは女子部二年生の演武だったけど。女性としても大柄ではない、エリカとほとんど同程度の体格で、二回り以上大柄な男子と互角以上に打ち合っている。力ではなく、流麗な技で打撃を受け流している。拠点で言えばテクニックタイプは祐斗でパワーバカはゼノヴィアといったことかな。模範試合に相応しい剣士と思ったが、エリカはつまんなそうにしていた。
「気に召さなかったようだな」
「え?ええ・・・・」
自分が問われたのだとすぐに分からなかったようで、エリカの答えが返ってくるまで、少し間が空いた。
「・・・・だって、つまらないじゃない。手の内が分かっている格下の相手に、見栄えを意識した立ち回りで予定通りの一本だなんて。試合じゃなくて殺陣だよ、これじゃ」
「エリカの言う通りだが、これは部による宣伝演武だ。それが当然だと思うが、それに俺らプロは真剣勝負を見せることを売りになんかしていない。他人に見せられないもんばかりだ、武術の真剣勝負は殺し合いなんだから」
「一真君が言うと、正論って聞こえるね」
俺らはしばらくして、立ち去ろうとしたら勧誘ではない騒ぎがしたので俺らは言ってみる。エリカもついて来るので、たぶん好奇心がウズウズしているんだろうなと思いながら進んでいく。騒動の真ん中まで来たらさっきの女子が男子と言い合いになっていた。いや剣士同士とでも言おうかな。女子の方はついさっきまで出ていた、エリカに言わせれば殺陣を演じていたという美少女だ。胴はまだついているが面は取っている。セミロングストレートに黒髪、技にルックスは新人勧誘にはうってつけなのだろ。男子の方はそれほど大柄ではないが、俺くらいある身長だ。体つきはバネのようだが、竹刀は持っているが防具はつけていない。何が起こったかは分からんがこのまま静観した方がいいだろう。一応俺の勘だと警戒警報が鳴っているので、ビデオレコーダーのスイッチを入れた。最前列に来ているので俺の腕章は見られていないようだ。
「剣術部の順番まで、まだ一時間以上あるわよ、桐原君!どうしてそれまで待てないのっ?」
「心外だな、壬生。あんな未熟者相手じゃ、新入生に剣道部随一の実力が披露できないだろうから、協力してやろうって言ってんだぜ?」
「無理矢理勝負を吹っ掛けておいて!協力が聞いて呆れる。貴方が先輩相手に振るった暴力が風紀委員会にばれたら、貴方一人の問題じゃ済まないわよ」
「暴力だって?おいおい壬生、人聞きの悪いこと言うなよ。防具の上から、竹刀で、面を打っただけだぜ、俺は。仮にも剣道部のレギュラーが、その程度の事
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