ターン15 鉄砲水と優しき闇
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ゃいそうだし」
「ふむふむ。じゃあ、よかったら僕も一緒に行っていい?」
「もちろん、だって」
「………甘く見てたかな、なんだって」
「うーん、やっちゃったかー」
ぎっしりと詰まっている人、人、人。どうやらまともにいい場所を確保しようとするなら、それこそ朝イチで来るぐらいの覚悟が必要だったらしい。まあ相手は史上最年少プロなんだ、これくらいの注目度はあって当然だったか。諦めて入り口近くで立ち見していると、クロノス先生がスポットライトを浴びながらデュエル場の真ん中に立つのが見えた。
「アー、アー、ただいまマイクのテスト中なのーネ………コホン。それでは全校生徒の皆さん、長らくお待たせしたノーネ。これより史上最年少でプロ入りし、先日は本校の卒業生たるカイザー亮を下す圧倒的な実力を見せたエド・フェニックスさんにお越しいただいてますーノ」
その後もぺらぺらと上機嫌でしゃべり続けるクロノス先生。あの人、基本いい人なんだけどあのミーハーな部分はもうちっとなんとかならないもんだろうか。機嫌がいいオーラが全身から出まくってる。
「話、長いね。だってさ」
じっと待つのにしびれを切らしたのか、こちらに顔を寄せてひそひそとささやいてくる夢想。近づいた拍子に彼女の長い青髪が揺れて、あたりにふわっといい匂いが漂う。
『いらぬ世話かもしれないが、顔を隠した方がいいぞ、マスター。一目でわかる程度には赤い』
うるさい!と叫び返したくなるのをやっとの思いで我慢しつつ、そっと顔の向きを変える。気休めにもならないだろうけど、何もやらないよりははるかにマシだろう。
「………どうしたの?って」
「え!?あー、いやー、そのね!別に、別に何もないよー、うん。確かに長いね、あはは」
「本当、どうしたの?変な清明」
まだ何か言いたそうな夢想だったが、ちょうどその時クロノス先生の話が終わった。それとほぼ同時に、入場口の向こうからサッカーとラブカの2体がチラリと見えた。向こうも見られてることに気づいて、こちらに軽くヒレを振ってみせてくる。無事でよかった。
そしてエドが現れ、軽く笑って手を振ったりしながらクロノス先生からマイクを受け取る。一拍置いてから、いかにもプロらしい朗々とした声で話し始めた。
「アカデミアの皆さん、こんにちは。本日は私のような者のためにわざわざお集まりいただき、ありがとうございます。さて、本日の予定はこれより講演会………でしたが、その前に一つ余興を挟みたいと思います」
余興。その単語に、場内が軽くざわつく。クロノス先生やナポレオン教頭もあの反応から見ると初耳らしいし、エドが1人で考え付いたんだろうか。それにしても、エドは喋りがうまい。聞く側の心理をつかむ言葉を発するタイミングや声のトー
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