第29話 フェザーン到着
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彼の動きの一部ではありますが、フェザーンは幾つかの情報を掴んでいます。この情報については今後私から大尉に直接お渡しするつもりです」
「それはありがとうございます。フェザーン自治政府のご協力に感謝いたします」
あんたから直接情報を受け取るわけではなく、あくまでも同盟政府とフェザーン自治政府の連絡業務としてしか受け取らないよ、という俺の言外の言葉に、頷き掛けたボルテックの首は一瞬だけ止まったが、結局ふたたびベコ人形のようになった。
「いやぁ大変有意義な昼食でした」
地上に降りついた軌道エレベーターの扉が開くと、ボルテックは最初に見せたにこやかな笑顔に戻っていた。
「出来れば大尉とは長くお付き合いしたいものですが、そうもいきますまい。本国には大尉を待っていらっしゃる方が大勢いらっしゃいますでしょうしねぇ。大尉でしたら『行ってくれるな』と泣いてくれた女性もおおぜいいらっしゃるんでしょう?」
「義妹はたしかに女性ですけど、少し若すぎますね」
宇宙港の搭乗口で見送るアントニナとイロナとラリサの手を振る姿を思い出し、俺はそう正直に応えてやったが、ボルテックは冗談だと思ったようだ。小さく首をかしげて腕を組むと、ボルテックは羨ましそうな視線を俺に向けてくる。
「義理の妹さん、ですか。なるほど。ですが大尉、フェザーンの女性もなかなかのものですぞ。大尉くらい将来有望な方ならよりどりみどりでしょう。若いというのは本当に羨ましい限りですよ」
「は、ははははは」
前世で二・三人との付き合いがあったとはいえ、こちらの世界では良いところまで行くにもかかわらず、誰一人落とすことが出来なかった俺としては、ボルテックの言葉には乾いた笑いでしか応えることができなかった。
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