第二十五話 幻と現実その二
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その中の洋風のリビングのテーブルの上に冷えた御飯と漬物を出してだ、姉はお茶の用意をしながら箸を出している菫に言った。
「実際にね」
「まさか姉さんも」
「いい娘よね」
にこりと笑ってだ、こう返した姉だった。
「あの娘って」
「桜ちゃんと仲いいのね」
「だって私もずっとあのお家に出入りしてるのよ」
それで、というのだ。
「それこそ子供の頃から」
「それでなの」
「そう、ただあんたは」
「これまではね」
桜とは、というのだ。
「あまりお話する機会がなかったわ」
「そうだったのね」
「最近なのよ」
何故交流が深まったかは言えなかった、力のことと怪人達との戦いのことは自分の姉である彼女にもだ。
「そうなったのは」
「そうなのね」
「けれどお話してみると」
「いい娘よね」
「上品で親切で気が利いて」
「本当のお嬢様よね」
「そう言っていいわね」
「そう、だからね」
そうした娘だからだというのだ、桜は。
「一緒にいても」
「何か心が落ち着くっていうかね」
「彼女みたいな」
こう言った菫だった。
「彼女と一緒にいるみたいな」
「女の子同士なのに?」
「何かそんな気がするの、桜ちゃんと一緒にいると」
「何か変な表現ね。ただね」
「ただ?」
「そう言うあんたもよ」
二人はもうそれぞれの席に座っている、そしてだった。
姉は自分の御飯の上に漬物を置いてお茶をその上にかけた、お茶漬けである。菫も姉と同じ様にしてお茶漬けにした。そうして。
そのお茶漬けを食べつつだ、姉は菫に言うのだった。
「最近特にね」
「特に?」
「女の子になってきたじゃない」
「そうかしら」
「ええ、彼女にするのならね」
そうした相手にするのならというのだ。
「あんたもいいかなってね」
「そう思うの」
「私から見ればね」
「お姉ちゃんから見れば」
「ええ、雑誌でよく彼女にしたいタイプってあるけれど」
こうした特集は雑誌では非常によくある、彼氏のそれもまた然りだ。
「それにね」
「私もなの」
「あんたみたいな娘実際に雑誌に出てるわよ」
菫そのままのタイプの女の子が、というのだ。
「こんな娘いいって」
「そのまま?」
「服装とか髪型がね、あとアクセサリーも」
「私の格好が」
「目鼻立ちとかまで」
「私そのままなのかしら」
そう聞いてだ、菫は怪訝な顔になって姉に言った。
「私はそんな」
「モデルになったつもりはないわよね」
「そうしたことしたことないから」
一度もだ。
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