第四章
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第四章
「それでどうでしょうか」
「すぐに終わるのですか」
香里奈は黒眼鏡の奥のその目をいぶかしむものにさせて述べた。
「そうなのですか」
「はい、本当にすぐですから」
また言う彼だった。
「どうですか?それで」
「よくわからないですけれど」
いきなりそんなことを言われてはわからなくて当然だった。実際に彼女の目はいぶかしんだままである。しかしそれでもまだ言う裕則だった。
「まあすぐですから」
「すぐなのですね」
「しかも悪いようにはなりません」
裕則はこのことも保障してみせた。
「決して」
「そうですか」
「それでどうでしょうか」
あらためて香里奈に尋ねる。
「魔法をかけていいですか?」
「何かわかりませんがわかりました」
こう返した香里奈だった。
「実習生の。ええと」
「横光です」
今度は自分の名前も名乗った。
「横光裕則です」
「横光さんでしたね。英語の」
「一応社会や国語もできますけれどね」
「それでも実習は英語でしたね」
「はい」
それはその通りだった。しっかりとした顔で頷いてみせる。
「そうです、実習は」
「それではイギリスの魔法でしょうか」
「さて、それはどうでしょうか」
思わせぶりな笑顔を浮かべ今は答えようとしない。
「それは受けてからのお楽しみということで」
「左様ですか。それでは」
「目を閉じればすぐですから」
「すぐですね」
「はい、すぐです」
それは言って保障する。
「今からかけさせてもらいますね」
「わかりました」
香里奈も遂に頷いた。そのうえで目をつぶる。
裕則は素早く化粧道具を一式出してだ。それで彼女の眼鏡を外して化粧を一気に済ませた。髪もさっとセットした。そのうえで言うのだった。
「はい、いいです」
「終わりですか?」
「はい、終わりです」
こう香里奈に話す。
「目を開けて下さい」
「わかりました。それでは」
「ただし」
「ただし?」
「驚いたら駄目ですよ」
香里奈に今告げた言葉はこれだった。
「絶対に」
「どうしてですか?」
「とりあえず約束してくれますか?」
その理由は今はあえて言わないのだった。
「それは」
「わかりました」
香里奈はよくわからないまま頷いた。
「それでは」
「ではどうぞ」
裕則のその言葉に従い目を開ける。するとそこにいたのは。
「えっ・・・・・・」
「驚きました?」
「あの、この人は」
「ああ、この人はですね」
今香里奈の前にはだ。はっきりとした美人がいた。目ははっきりとしていて顔立ちは全体的に整っている。流麗な目に奇麗にセットされた髪、メイクは薄いがしっかりしている。そして唇は紅だった。
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