入学編〈上〉
いつもの朝
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・フィールドバック・パネルから、淀みなく短い番号を入力する。深雪や蒼太たちは携帯端末形態の汎用型CADで、他とは違う最新型を使用している。最も普及しているのはブレスレット形態の汎用型に対して、デメリットは落下リスクがあるが、慣れれば片手で操作可能というメリットがある。これは俺らが使っているスマホと同じだが。両手が塞がるのを嫌う現場肌の上級魔法師に好まれているタイプである。
非物理の光で描かれた複雑なパターンが、CADからそれを持つ左手に吸い込まれて、魔法が発動する。本来であれば俺らは必要ないがカモフラージュとして使っている。特に深雪は。現代の魔法師は杖や魔道書、呪文や印契の代わりに、魔法工学の成果物たる電子機器、CADを用いる。CADには感応石という名の、サイオン波動を電気信号に変換し、電気信号をサイオン波動に変換する合成物である。魔法師から供給されたサイオンを使って電子的に記録された魔法陣、起動式を出力する。
俺らの魔法陣を使うときは一瞬にして発動はできるが。起動式は魔法の設計図だ。呪文や複雑なのと同等以上の情報量が存在する。魔法師はサイオンの良導体である肉体を通じてCADが出力した起動式を吸収し、無意識下に存在し魔法師を魔法師たらしめている精神機構、魔法演算領域へ送り込む。魔法演算領域は起動式に基づき、魔法を実行する情報体、魔法式を組み上げる。CADは魔法の構築に必要な情報を一瞬で提供できる。
深雪の周りから現れた実体のない雲が、バカ弟子の所に向かい全身真っ黒気になったところを包み込む。空中から湧き出した粒子が、俺とバカ弟子に向かい全身を洗い流すかのように落ちていく。輝く霧が晴れたらバカ弟子がさっきまで真っ黒だったのが、なかったことになっていた。
「お兄様、朝食にしませんか?先生もよかったらどうぞ」
「今回は深夜と深雪の手作りだ。食べるなら有難く食えよ、バカ弟子」
とまあこの程度の魔法は些細なことであり、本来の力をセーブしている部分もある。深雪の大天使化は俺の許可がないと発動しないようにしている。まあそれについては後程にしてから、俺らは縁側で腰を下ろし、サンドイッチを食べる俺とバカ弟子である八雲。深雪は口にしたりお茶を出したりと世話をしている。バカ弟子に対してもだけどあいつの場合は坊主から手拭いで手と口を清めてから食っていた。
「まったくあれで死ぬ程度だったら、門下生は死んでいるね」
「当たり前だ。あれでも威力は抑え気味だ。それとも何か、ドライグたちを呼んでのドラゴンブレスの方がよかったか?」
「いえ。出力抑え気味の雷でよかったです。はい」
「残念〜♪」
と笑いながら言っているが、目は本気だったけど。ちなみにドライグとサマエルは俺の中にいるが、ティアは深雪の中にいる。話し相手になるからだ。
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