入学編〈上〉
いつもの朝
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「先生・・・・っ。気配を消して忍び寄らないでくださいと、何度も言っているのに・・・・」
無駄だと思いつつもそう言う深雪。
「忍び寄るな、とは、深雪君も難しい注文をするようになったねぇ。僕は『忍び』だからね。忍び寄るのは性みたいなもんだけど」
きれいに髪を剃り上げた細身の身体は見た目30代だが、実年齢は50歳を超えている。が、一真と深雪より年下だが。墨染めの衣を着た姿はこの場に相応しないし、見た目と雰囲気では老いていない。
「戦国時代なら忍者や草と呼ぶ職種はありますが、現代ではありませんから。その性は矯正するべきです」
「僕は忍者じゃなくて由緒正しい『忍び』だよ。深雪君も見た目ではそう言えるけど、君たちだってそうだろ?」
まあそうなんですけどね。先生は僧侶もどきでもありますし、対人戦闘を長じた者には高名な「忍術使い」で忍術を昔ながらのノウハウで現代に伝える古式魔法の伝承者と聞いていましたが、私とお兄様も表では人間として生活してますしこの姿はあくまで高校に通うための擬態の姿。本当の姿は拠点にいるお母さまと瓜二つと言われるほどであると聞いているし、大天使化になればさらに美しくなる。女神シヴァはこの私のことなのだから。
「ところでそれが第一高校の制服かい?」
「はい、昨日が入学式でした」
「そうかそうか、う〜ん、いいねぇ」
「今日は入学のご報告を、と存じまして」
「真新しい制服が初々しくて、清楚な中にも隠しきれない色香があって。まるでまさに綻ばんとする花の蕾、萌え出ずる新縁の茅。そう・・・・萌えだ、これは萌えだよ!『そこまでだ、バカ弟子!』ギャアアアアアアアアアッ!」
ソロソロと後退する深雪をジリジリと詰め寄るバカ弟子に向かって雷を放った。バカ弟子を避雷針にしたので、深雪には一切被害はない。倒した門下生はバカ弟子を見てクスクスと笑っていたので、門下生にも少し電気を放ったけど。チョーシに乗るからだ。ちなみにバカ弟子に放った威力はボルトで言うなら人が死ぬぐらいのを抑えた感じ。姿は真っ黒になったけど生きていたバカ弟子。今回は報告のために来たわけだし、ここの門下生も俺がこいつの師範代という事は知っている。
「か、一真さん。いくらなんでも威力が高いよ」
「お前が調子に乗るからだ。萌えオタクが」
「それはしょうがないよ。前回はそうだったのだから」
バカ弟子の記憶は前回萌えオタクとして開花したからか、たまにそういう発言が出るときもある。本堂の庭にて座った俺とバカ弟子。
「深雪、悪いがこのバカ弟子の汚れをとってくれないか?」
「はいお兄様。お兄様も全然汗をかいていないのはさすがです」
内ポケットから出した縦長の薄型携帯端末を取り出した。端末の表側ほぼ全面を占めるフォース
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