第135話 美羽との再会
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榮菜は城門に向って途切れることなく人が進む様を嬉しそうに見つめていた。榮菜は正宗の命令で美羽の元で客将をしていたこともあり、荒廃した南陽郡が復興したことは感慨深いものだったのだろう。
四半刻(三十分)後、騎乗した女の子が三人城門からこちらに近づいてきた。正宗は遠目で三人が誰であるか直ぐにわかった。中央が美羽、左が明命、右が亜莎だった。美羽は正宗を確認すると馬足を早め正宗の元に駆け寄ってきた。残る二人は美羽を追いかけるように馬を走らせた。
正宗は馬を降りると馬に乗る美羽の元に歩いて近づいていった。
「兄様??????!」
美羽は馬上であるにかかわらず、無邪気な笑みを浮かべ正宗の胸目がけて飛び込んだ。正宗は突然のことに驚きながらも美羽を受けとめ抱き上げた。彼の表情から久方ぶりの美羽と出会いを心から喜んでいるがわかった。
「美羽、大きくなったな。元気にしていたか?」
正宗は美羽を地面に下ろし彼女の目線にかがむと彼女に語りかけた。
「妾は元気なのです! 兄様も元気でしたか?」
「私も元気だ」
正宗は美羽を優しい表情で見つめ頭を撫でた。美羽は正宗の行為に暫し少し気恥ずかしそうな表情を浮かべるが、直ぐにうれしそうな表情に変わった。
「美羽さん、本当にお久しぶりですわね」
麗羽は馬を降り美羽に声をかけ近寄ってきた。冥琳達部将以上の者達も馬を降りて美羽達に近寄ってきた。
「麗羽姉様、お久しぶりです」
美羽は麗羽を確認すると後ずさりし、正宗の背に隠れるように移動した。麗羽は美羽の態度を気にすることなく笑顔で近づいてきた。
「美羽さん、どうしたんですの?」
麗羽は腰を屈め美羽に顔を近づける。
「えい!」
突然、麗羽は美羽との間合いを詰め抱きしめた。美羽は麗羽の胸に押し付けられ苦しそうにバタバタと手足を動かしていた。
「美羽さんは昔から本当に恥ずかしがりやさんですわね。最後に会ったのはもういつだったかしら。そうそう、あれは正宗様が黄巾賊討伐のために出征したころでしたわね。あの頃から本当に大きくなって」
麗羽は美羽を愛犬を愛でるように熱烈な抱擁をした。抱擁を受ける美羽は窒息しそうなのか先程に比べ抵抗が鈍くなってきた。そして、手足がだらりと脱力しているように見えた。
「麗羽、そろそろ美羽を解放しないか。こんな人目の多い所では美羽も大守の体面に関わるじゃないか」
美羽の危機を察知した正宗は慌てて麗羽を止めた。麗羽に解放された美羽は力無く崩れ、それを正宗が背後から支えるように抱きしめた。麗羽は美羽の状況を不思議そうに眺めていた。
「美羽、大丈夫か?」
「美羽さん、どうしましたの?」
麗羽は美羽を本当に心配そうに見つめていた。
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