第135話 美羽との再会
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いる兵達は統一した軍装に身を包んだ完全武装した兵三千の部隊であり、その兵達の整然として隊列を見れば練度の高さは傍目からも窺いしれた。衛兵達にとって正宗達は脅威そのものである。しかし、衛兵が正宗達を警戒するのでなく、緊張した表情になっているのは正宗達が夜盗の類でなく官軍であると察したからだろう。
「宛にようこそお越しくださいました。物々しい兵でございますが、何かあったのでしょうか?」
衛兵は正宗の身なりを確認し、丁寧な物言いで正宗に駆け寄ってきた。正宗の軍装か彼が身分ある武官と推測し、近隣で何か問題でも起こったのかと心配しているのだろう。
「いや、何もない。気を使わせてしまったな」
「控えよ。この御方は劉車騎将軍であられる」
直ぐ後ろに控えていた冥琳が衛兵に厳かな物言いをした。
「これはご無礼の段お許しください」
衛兵は冥琳の言葉に表情を変え、慌てて片膝を付き拱手して謝罪した。
「気にするな。武装した兵達が城門前に近づいてくれば警戒するのは当然のことだ。例え、官軍と思しき軍装であろうとな」
「寛大な配慮痛み入ります」
衛兵は緊張した声で正宗に礼を述べた。
「この宛に私の義理の従姉妹・袁大守が在地しているので会いにきたのだ。この兵達は護衛だ」
正宗は衛兵に宛城を訪ねた用件を伝え、引き連れている兵達の説明をした。
「大守様のご縁者でございましたか。大変恐縮ではございますが、しばしお待ちくださいませんでしょうか?」
「この兵数が警戒されても仕方ない。袁大守への取り次ぎを頼む」
「畏まりました」
衛兵は拱手したまま頭を更に下げ城門の方に去っていった。城門近くに戻った衛兵を見ていると他の衛兵と暫し会話をした後、大慌てで城門を越えた街の方に向って走っていた。
「美羽に早馬を出しておけばよかっただろうか?」
「そうですわね」
「衛兵に余計な心労をかけたかもしれませんね」
正宗の発言に麗羽と冥琳は思い思いの言葉を述べた。正宗は宛の城門から城郭へ視線を移す。
「一郡で一州に匹敵する人と農業生産力がある南陽郡の郡都・宛城だけのことはあるな」
正宗の知る歴史において宛城は荊州牧が州都とした城である。これだけの城郭を抱えるからこそ荊州の州都を漢寿から宛に移したのだろう。それに正宗の知る歴史においても南陽郡を獲れば天下を獲れると言われていた。正宗は自らの目で直接見て南陽郡がそう言われる理由を実感できた。しかし、同時に豊かな南陽郡は争いの火種に成り得る。
「正宗様は初めてでございましたね」
榮菜は後ろより声を掛けてきた。
「榮菜は久しぶりの宛だったな。お前が宛を去る時に比べてどうだ?」
「美羽様は南陽郡を善く統治なされていると思います」
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