第135話 美羽との再会
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」
桃香は環菜の反応に何か気づいたのか正宗に対して頭を下げ礼を述べた。
「正宗様のご厚情感謝いたします。主人である桃香も正宗様のご期待に添うべく頑張る所存にございます」
桃香が礼を言うのを確認すると、続けて環菜も正宗に礼と感謝の口上を述べた。環菜の献身的な補佐のお陰で臨穎県の政務に支障が出なかったのだろうなと思う正宗だった。
「桃香、本題に移るぞ。月華先生の容態が快方に向かってきたら、折を見て冀州の?城まで先生を連れてきて欲しい。幽州より?城の方が療養には適しているだろう」
「冀州へ連れていけばいいんですね?」
「そうだが。月華先生の容態を優先するようにして欲しい。旅をする体力がないのであれば、無理を押して冀州へ連れていくことはない。私も荊州と洛陽への用事を終えれば冀州に戻るので、その頃に一度月華先生の元を尋ねようと思う」
「正宗様、定期的な報告は司馬大守へ行なえばよろしいのでしょうか?」
環菜が正宗に確認してきたので正宗は頷いた。
「揚羽に報告すれば私の元に連絡が来るようになっている。私が冀州へ戻るまでは揚羽に報告してくれ」
「畏まりました」
環菜は拱手して返事した。
三日後、桃香は朝廷への奏上文をしたため、それに正宗と桃香で連署し王允の元に送られた。また、正宗は潁川郡大守の元へ文を送った。文は桃香が臨穎県県令の辞任にするため、その後任が決まるまでの間、期限付きで行政と治安維持の代行を依頼する内容だった。使者として潁川郡大守の元を訪問したのは泉だった。潁川郡大守は正宗の依頼を快く受け入れた。この対応の良さは正宗が車騎将軍の地位にあったことも大きいかもしれないが、一番の要因は正宗の妻である麗羽が潁川郡の隣郡である汝南郡汝陽を本貫とする汝南袁氏の出身であることことも大きかった。汝南袁氏は「四世三公」と呼ばれるほどの名門中の名門である。隣郡を本拠とする名門一族と縁戚関係にある人物と問題を起こしたくないと考えるのは無理からぬことだろう。
こうして全ての雑事への対応を終えた正宗達はそれぞれの目的地に向け旅立つのだった。
この間、冥琳は正宗に桃香を登用した存念を問いただすことはなかった。冥琳がそうしなかった理由は麗羽の存在があるかもしれない。桃香の目的地が幽州であることも意味深だった。この考えにたどり着いていたのは朱里もだった。
冀州魏郡の?城へ向った桃香達と別れ、荊州南陽郡に向う正宗は一週間の道程で美羽が居る宛県に入った。美羽の居城である宛城に到着するまでの南陽郡領内の民の表情は活気に満ちあふれていた。正宗達は美羽が南陽郡を善く治めていることを肌で感じることが出来た。
宛城の城門前に正宗達が近づいてくると衛兵達が駆け寄ってきた。衛兵達の表情は緊張していた。正宗達の率
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