第135話 美羽との再会
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桃香の次の就職先を決まり、正宗と桃香は今後のことを話し始めた。
「桃香、この時世だ。県令が任地の職を放棄して逃げ出すことは多々ある。お前が突然県令を辞したとしても大丈夫だ。県令を辞す旨を書いた朝廷への奏上文をしたためてくれ。この私も連署する。幸いなことに司空の王允殿とは知己がある」
「正宗さん、私が急に県令を辞めても大丈夫なの」
桃香は心配そうな表情で正宗のことを見つめる。
「大丈夫だ。王允殿を通せば事後承諾で問題ない。後は私が郡大守へ働きかける。数日中には暫定の政務を行なう官吏を臨穎県の政庁に送ってくるはずだ。桃香達は官吏が到着してから、月華先生を探しに幽州に向えばいい」
桃香は胸に手をあて安堵の表情を浮かべる。環菜はまだ落ち込んだ表情を浮かべていた。時折、頭を上げたり項垂れたりを繰り返している。彼女はショックから未だ立ち直っていないようだ。正宗が桃香を直臣に取り立てたことに呆気にとられていた冥琳は正宗と桃香の会話を静観して聞いていた。
その後、正宗は桃香と今後のことの細かい話の擦り合わせを行なった。話の中盤になると桃香では話に付いてこれず、それを見かねた環菜が打ちひしがれた心身に鞭を打ち正宗との話の引き継いだ。
正宗と環菜は一通りの話を終えると、正宗は桃香に視線を移した。
「桃香、月華先生を探しに幽州に向う前に冀州の都・?城に向って欲しい」
正宗は唐突に言った。?城は正宗の居城であり、冀州魏郡にあり幽州に向う道中にはない。?城を経由すると遠回りして幽州に向うことになる。
「?城に?」
桃香は要領を得ない表情で正宗のことを見ていた。わざわざ遠回りして行くように言う正宗のことを不思議に思ったのだろう。
「今後、桃香達が支援を受けるには?城に一度を足を運んでおいた方がいい。?城には私の妻の揚羽がいる。現在、揚羽は?城のある魏郡の大守を務めている。環菜は面識がないな。「揚羽」の名は察していると思うが真名だ。姓と字名は司馬仲達」
正宗は桃香に話した後、環菜に視線を移し言った。
「私が突然行って会ってくれるかな?」
桃香は正宗を困り顔で見ていた。彼女が冀州で問題を起こした時に揚羽から手厳しい叱責を受けたので、揚羽のことが苦手なのだろう。揚羽の叱責は当然のことなのだが、これは桃香自身の気持ちの問題なので他人がどうこう言ってもしょうがない。
「私が文を書くから門前払いとはならないだろう。揚羽は公私の区別のできる人間だ安心していい。冥琳、桃香に手形と当座の路銀を用意してやってくれ」
「畏まりました」
冥琳は正宗に対して軽く頭を下げた。
「桃香様」
環菜は小声で桃香にだけ聞こえるように囁いた。
「正宗さん、ご配慮ありがとうございます
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