第三章
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く誘導して罠に嵌めて勝利したよ」
葵・ユーキの説明では、シロジロが地摺朱雀《じずりすざく》の手で潰されるような攻撃を表層部の土地を購入して、攻撃を地面に潜ることで回避。
その後、シロジロの攻撃で建物を背にして反撃しようとしたが、その建物すら購入して建物を背にしようとした地摺朱雀《じずりすざく》はそのまま尻もちをつくような形で転倒、瓦礫に巻き込まれて上手く起き上がれない隙にシロジロは直政を説得して勝利した。
「まあ、建物ごと倒された時点で直政の負けだったからな。どれだけの金を使ったかは聞かないでやってくれ」
本来、建物は労働の加護により守られており、直政らはそれを利用して建物を壁として利用し反撃するつもりが、受け止めるはずの建物は崩れたのだ。
……空き家とは言っても人口密集地の物件を買い取るか。確かに直政の言った戦う手段があるかどうかを見せたと思う。金はかかったと思うが。
「ハイディは大変そうだから、次の相対に行こうか――」
「次は私ということになりますわね」
ミトツダイラが二番手だと宣言した。
彼女は騎士代表だ。
「いいのか? 騎士という立場が現代においてどうであるか、知らない私ではない」
「気にすることはありませんわ。どのような結論になろうとも。私は己を騎士として扱いますもの」
そう言って、ミトツダイラは皆の方を見た。
ボソリと、葵・ユーキのつぶやきが私だけに聞こえた。
「向こうの相対相手次第だが……、ネイトはズレてるな。やっぱりゲンコツが必要か……」
「武蔵の騎士代表として、銀狼《アルジョント・ルウ》ネイト・ミトツダイラがお尋ねしますわ」
彼女は胸を張ると、背負っていた対の長ケースを左右に置いた。
己の背丈ほどあるケースは床に載り、その重量で教導院前の橋をわずかに軋ませる。
「ユーキ、どういうことだ――」
私の声をかき消すように、ミトツダイラが声高らかに言葉を発した。
「現在、武蔵の総長兼生徒会長の権限は王に預けられており、不在の状態。その武蔵王は派遣の役であり、報奨などの経済基盤を持たないですの。それでは私達騎士が従うことは出来ません。こんな状態において、教導院側は、何を持って私達を従えさせる事が出来ますの?」
彼女は左右にあるケースを軽々と、無造作に軽く持ち上げた。
そこに術はなく、ただ単純な力の象徴だ。
「騎士を従えさせようとする相手は、どなたですの?」
●
教導院前の橋上にて、ミトツダイラは長ケースを下ろすか下ろすまいか迷った。
何故なら、彼女の両手に持ち上げられた長ケースの上に絶妙なバランスを持って立っている人物がいるからだ。
「何してますの?」
「高みの見物……!」
教導院側、昇降口の前に座り込んで話し合っている皆
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