第三章
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回収と、資金奪取をする。
その後、支配した極東に銀行を形だけ戻して、自分達のものとして最運用する。
極東側に取ってはそれは何も残らず、何も抵抗が出来無い。さらには行く先々で各国の言いなりになるしかない。
つまり、極東が聖連に完全支配されたら極東に住む人間は全てを奪取されるはめになる。
そんな中、金融機関として唯一保たれているのが武蔵だという。
武蔵は各国の暫定支配を直接受けていない独立の領土であり、金融の独立性を保っているのだ。
そして、人々は動いている。
三河消失を受けて聖連側の支配による借金踏み倒しを恐れた極東の人々は今朝になって貯金を引き落とそうとした。
しかし、聖連は、三河消失を聖連に対する敵対行為の恐れ有りとして敵対行為への資金投入の恐れを避けるという名目で極東の金融を凍結している。
『――よって、各居留地を中心に極東の人々が手持ちの金を神社に奉納し、その代演を外燃拝気《がいねんはいき》として武蔵に預ける流れが生じつつある。――意味がわかるか? それは、武蔵が、極東最大の燃料庫と銀行になりつつあるのだ!』
シロジロは言う。
『だが、ホライゾン・アリアダストが失われて武蔵が移譲されたら何もかも終わりだ。しかし、そうならなければ、武蔵は金を力が集まる場所となる!』
一際大きな攻撃と、声が響く。
『武蔵は戦える。武蔵が飛び続けることで存在を示し、金が集まり続ける限りはな!』
●
「ぶっちゃけ、シロ君とマサ、当初の目的見失って暴れてるよね?」
シロジロと地摺朱雀《じずりすざく》が町で激しく交戦しているのを見守りながらハイディは言った。
……相手がマサで良かった反面、お金かかるけどいいのかな?
ハイディは幾つもの表示枠《サインフレーム》の操作を行いながらそう思った。
彼女の近くで座り込んでいる葵・トーリと、視線の先に正純と並んでシロジロと直政の交戦を見ている葵・ユーキを見比べる。
……言葉にしないけど、ユーキ君がまさか敵側とはねぇ。副会長に言いくるめられたって感じじゃないから、自主的に正純の方に付いたのかな?
それにしても、厄介よね。トーリ君は馬鹿だけど、ユーキ君は馬鹿じゃないから。
トーリ君は馬鹿で何考えてるかわかんないし、ユーキ君は馬鹿じゃないけど何考えてるかわかんないもんね。
「マサは祭好きだからいいとしても大丈夫かよシロのやつ、毎日部屋の隅で体育座りしてニヤニヤしながら金勘定してたら馬鹿になっちまったんじゃね?」
「ははは、トーリ。お前に言われたらシロジロもおしまいだな」
兄弟揃って笑いあっていた。
あれ、敵同士のはずじゃなかったのかな。
「んー、シロ君、金が絡むと正気に戻るから大丈夫」
「いや、否定しろよ……」
正純ね。まあ、気にしないでいいか
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