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不可能男の兄
第三章
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う? 俺は正純の補佐役だからさ。長引いても良い事無いしな」

葵・ユーキが、相対に対する条件を提示した。
シロジロは瞬時に理解した。
葵・ユーキは、今は敵だがホライゾン・アリアダストを救うという考えは持っているのだと。
 
「……いいだろう。聖連側と武蔵側、代表は三人ずつで二勝先取側が勝利。その相対の結果を武蔵アリアダスト教導院の総意として判断する。聖連側が勝てばホライゾンの自害を認めて武蔵は移譲する。武蔵側が勝てばホライゾンを救助しに向かう」

武蔵側に取って時間は大切だ。
明確に自害の時間が通知されているので、それまでにホライゾンを救助しなければならい。
よって、葵・ユーキの提示した条件はホライゾンを救助する為に有利と言えるだろう。

「相対の方法は如何なる手段も有りとします。戦闘、交渉も他の勝負であろうとなんでもありね。どんな手段でも聖連側は歯向かうことの無意味を知らせ、武蔵側は抗う方法があることを知らせればいいわ」

教員であるオリオトライの言葉に、正純とシロジロはJud.、と頷いた。

「一番手はあたしが貰うよ」

……一番手は誰にしようかユーキと相談して決めたかったが、仕方がない。
ミトツダイラは出遅れたらしく、半歩ほど前に足を出しかけていた。
しかし、それより先に直政が動いたのだ。

「まあ、直政達機関部の連中はどちらかと言うと教導院側だから仕方ねーよ」
「え? ユーキ。どういうことですの?」
「機関部は、暫定議会側に従えば武蔵という働き場がなくなることがわかってる。機関部の不安は簡単なことさ。逆らうのは別にいいけど、武蔵が沈められたらどうするんだ、ってね。それは嫌だ。だから聞いてみたいのさ。最悪、聖連との戦争状態になったら、明確な武装のない武蔵がどうやって戦う気なんだ、ってね」

直政はミトツダイラの問に答える形で更に続けた。

「ろくに戦う方法がないのに戦争を考慮するなんてできっこない。各国が持つ戦闘力の内、戦場における代表格ってのは何だい? 航空艦? 機竜? 機動殻? それとも騎士? 否、機関部としてはこう言いたいのさ。そうじゃない、と」



「間近で見るのは久しぶりだな」

空から飛んできた、身長十メートルはありそうな赤と黒の衣装をまとった女性型の重武神を葵・ユーキは見上げながら感想を述べた。

「――重武神地摺朱雀《じずりすざく》=Bあたしが地上にいた頃、戦場になった実家周辺の土地で見つけた武神の破片の寄せ集め。紆余曲折あって、今ではあたしの走狗《マウス》が宿って作業用だ。出自が戦闘系ってことで、機関部重武神作業班の中で勝てる奴はいない」

……直政の奴、楽しそうだな。変に派手好きというか、絶対に自慢だろう。
直政が義腕の右手を掲げた。
それに応じる
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