魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方2
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はいえ、
(生贄をする訳にもいかないしな)
『マーリン』が行う生贄は特殊だ。魔力のみならず、身体的な消耗まで癒せる。究極的には禁術の代償も打ち消せる訳だ――が、生贄にするような相手がいない。それに、今の状態では生贄行為の代償……つまり、若返りを抑え込むことも難しい。うっかり胎児に逆戻り、なんて事になったら目も当てられない。
「ひとまず身体を休める必要があるか……」
なのはの現状、フェイトとアルフの行方。確認しなければならない事はいくつもあるが、現実的な問題として、まず自身の体力の限界が目の前に横たわっている。ここまでの損傷となれば無視できるものではないし、仮に無視して動いたところで、そう長い事は続けられない。
(まずは、部屋に帰るか……。フェイトとアルフがいるかもしれない)
可能性としては低くない。彼女達が持っているのは八つ。あの日――鞭打ちにされて帰ってきたあの日から三つしか増えていない。プレシア・テスタロッサの望みは分らないが、それで満足するとは思えなかった。
(三つってのは俺が持っていた数だからな)
三つで足りるなら、フェイト経由にしろ直接にしろ、プレシア・テスタロッサは必ず引き渡しを要求してきたはずだ。それが交渉となるか、強奪になるかは別として。それがなかったと言う事は、三つでは足りないという事だ。
(今ならどうだ?)
手元には今八つある。フェイトが持っている八つとあわせて一六。俺達だけで七割――八割近いジュエルシードを確保している。
(そろそろ姿を見せてもいい頃じゃないか?)
……まぁ、姿を見るより先に一撃喰らった訳だが。いや――どうやらそれだけではないらしい。空を見上げ、にやりとする。
管理局の機械とは異なる、魔力の胎動。馴染みがある、と言っていいだろう。似たような魔法なら使えない事もない。つまり、
「当てが外れたか?」
プレシア・テスタロッサの監視だ。おそらく目的は俺――ではなく、俺が持っている八つのジュエルシード。どうせ、死体の懐から楽々と抜き取る算段だったのだろうが。
「こいつが欲しいなら、取りに来いよ。もっとも、渡すとしてもあの子達と交換だがな」
返事はなかった。が、何かしらの動きはあったらしい。魔力が揺らぐ。一応何が起こってもいいように身構えておくが――
(思ったよりも奥手らしいな)
上空の魔力はそのまま霧散した。それ以上の動きがない事を充分に確認してから、大きくため息をつく。皮膚がない状態では汗も出しようがないが――そうでもなければ、今頃は冷や汗が止まらなかった事だろう。今の状態で仕掛けてこられた場合、さすがに対応しきれない。いや、本当の意味でなりふり構わなければ方法が皆無ではないが――それでは意味がない。精一杯の虚勢が効果を発揮したのかどうなのか。ともかく、素直に退いてくれた幸
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