魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方2
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うだな。ここらで一つ、真面目な話をするとしようか』
不意に、リブロムが言った。
『相棒はかなり前からオマエが膨大な魔力を秘めている事に気づいていた。そして、オマエのその素質が誰かに気付かれないようにいくつもの準備をした。オマエを魔法使い……魔導師にしたくなかったんだ。理由は分かるだろう?』
「光お兄ちゃんにとって魔法使いって生き方は戦いの連続だったから、だよね?」
最初の夜に聞いた話からすれば、そうとしか考えられない。私なんかには想像できないけれど、それはきっととても辛い生き方だったはずだ。
『そうだ。だから、いつだってオマエを魔法から遠ざけようとしていた。今回もだ。だが、結果としてオマエはそれに逆らい続けた。ま、今となっちゃオレも同罪か。こうやって止めもしねえんだからよ』
ユーノとレイジングハートの協力を得て魔導師になったこと。ジュエルシードを集め続けたこと。管理局の人と協力したこと。
それは、光の願いを真っ向から否定したということ。
『だが、管理局って組織までがオマエの素質を見抜いた以上、相棒にはもう後がない。次の接触でオマエを確実に魔法から引き離そうとする。それで自分自身がオマエに憎まれようが何だろうが、躊躇いはしねえ』
自分と同じ生き方をして欲しくないから。それくらいの事は分かっている。それくらい、私は大切に思われている。
『それに、今の相棒は殺戮衝動に飲まれている可能性がある。そうなりゃ相手がオマエだって見境なく襲ってくるだろう』
もう時間がない。だから、少しでも早く見つけなければならない。絶対にだ。
『だから、オマエが相棒を連れて帰ろうと思うなら、必ず一戦交える事になる。オマエにとって有利となる条件をわざわざ手放すのは得策じゃねえ。この程度じゃまだろくな足枷にもならねえとしてもだ。相棒にオマエを殺させる訳にはいかねえからな』
分かるな?――その言葉に頷く。納得できなくても、分からなければならない。
そして。そのうえで。ああ、それでも。
このままいけば、光お兄ちゃんと本気で戦う事になる。リブロムの言葉をちゃんと理解したうえで。それでも私は少しだけ笑っていた。
『どうした?』
「私と光お兄ちゃんが兄妹げんかするのは初めてだなって」
訓練という名目で、恭也と光は意外とよく取っ組みあっている。回数はずっと少ないけれど美由紀とも同じだ。さらに恭也とは男同士という事なのか、口喧嘩未満のじゃれあいも多い。もちろん、それ以上に光は私をからかって遊ぶけれど……恭也との関係とは少し違う。だから――少しだけ、羨ましかった。守られているだけの私とは違うその関係が。
『言っとくが相棒は強いぞ?』
「よく知ってるよ」
けれど、負ける訳にはいかない。光やあの子達を助け、みんなで一緒に帰るために。
――世界
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ