暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
波の狭間で
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夜の海は黒々とし、一定の間隔で現れる波の白が海面から突き出る死者の手のような不気味さを与えてきていた。船底にぶつかる海水は心地よく耳朶を揺さぶる。
空を仰げば、真昼は一様に気味の悪い黄色に染まっていた天空ではあるが、夜になると降るような、銀砂を散りばめたような星空が広がっていた。都心の濁った曇り空では、ここまでの星を見ることはできないだろう。思わず、ここが仮想世界だという事を忘れてしまいそうな、魂を揺さぶるほどの美しい景色だ。
ちゃぷ、と。
だだっ広いバルコニーの欄干にアゴを乗せながら、レンは手に持ったワイングラスをゆっくりと振った。ルビーのような赤が夜闇によく映える。
「食べないの?レン」
後方から声が掛かる。
そちらを気だるげに振り向いた少年の眼が捉えたのは、バイキング形式になっているパーティーの食べ物が乗っている小皿片手に歩み寄ってくる、一人の少女の姿だった。
ツヤのあるシルク生地のピアノブラックを基調とした、パーティードレスに全身を包んでいる。どうでもいいが、表面積は結構広いのにそこはかとないエロさが漂ってくるのはなぜだろう。
コツ、コツ、と歩き慣れてなさそうなハイヒールを鳴らし、ユウキはレンの隣に並び、欄干に背を預けた。
「なんか、お腹空いてなくて」
ふ〜ん、と少女はぷっすりと皿上のサーモン(に見える何か)にフォークを突き刺し、口に運ぶ。むぐむぐと数度咀嚼して飲み込んだ後に、再び口を開いた。
「もったいないなぁ。こんなに美味しいのに」
むぐもぐごく、と飲み物みたいな間隔で取ってきた食料を瞬く間に平らげていくユウキを尻目に、少年はため息を一つして己の身体を見下ろした。
その身体は、少女と同じようにパーティー装となっている。
あの酒場を出た後、あのちっぽけなチケットだけを頼りに方々を歩き回った結果、ある豪華客船の居所を聞き出すことに成功した。まぁその方法が、笑顔を振り撒く事でなかったなら素直に喜べたものの。
仮想だからか、辿り着いた豪華客船は浮力やら揚力やらを度外視した巨大さであった。巨大高層ビルを横倒しにして数段積み上げたようなデタラメさであったのだ。当然その内部もすごい事になっており、家一軒丸ごと入るのではないかと思えるほどの広さを誇る吹き抜けのエントランスホール。学校の二十五メートルプールを数個連結したみたいな巨大プールが三個に、バカデカいカジノ場もあるらしい。
そして、そんなデタラメ豪華客船《セントライア》に入る時に、事は起こる。
入り口には金属物チェックみたいな四角い枠が設置されており、内部に入るためにはそこを絶対にくぐらねばならないらしい。ここでまず、初期装備らしいショボいリボルバーを取り上げられ、さらには服装をミリタリーからドレスコードに
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