暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
波の狭間で
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全身を、明らかにレア装備と思しき軍用黒ミリタリーで統一する侵入者達の一人。もくもくとロープを手繰る一人がふと目線を上げ――――

眼が合った、気がした。

「――――――ッ」

欄干の隙間からずぼっと東部を引っこ抜いて、傍らで同じく闖入者達の様子を観察していた少年にひそひそ声で詰め寄る。

「な、なな、何あれッ!?」

「んん〜?いやいや、ユウキねーちゃん。僕が知るわけないでしょ」

そりゃそうだ。しかし。

「まぁ、単純な事じゃない?」

「た、単純?」

うん、と頷いて、少年はタキシードの胸ポケットから小さな紙切れを取り出した。入り口のところで、映画の半券みたいに中央から破り取られてしまったが、この舟のチケットだ。

「チケットがどうかしたの?」

「いや、これ自体に意味はないんだけどさ。……これって《船上》パーティーのチケットだよね?」

「……??いや、うん、そうだと思うけど…………」

どういうことなのだろう、と首を傾けるユウキにあっけらかんと少年は言い放つ。

「だからさ、よーするに《船上》じゃなくて《戦場》ってことなんじゃない?」

「…………………………」

少女はなんか思いっきり脱力しそうになって必死に踏ん張った。










バタバタバタ、という荒々しい足音が通り過ぎるのを、二人の少女は馬鹿でかいパイプの裏に隠れながら聞いていた。

コンクリート剥き出しの床に頬がつきそうなほどしゃがみこんでいたミナは、《聞き耳》スキル中の《足音索敵(ステップサーチ)》を解除した。すでに足音の主達は、索敵範囲外に逃れている。

「ミナ、どう?」

傍らで、走り回っていたSPから奪ったニューナンブをためしすがめつしていたリラが声を潜めながらそう問う。チッ、という小さな舌打ちから察するに、レンコンみたいな回転式弾倉の中に入っていた残弾数はそう多くなかったようだ。走り回っていた前に撃ったのだろうか。

「うん、もう大丈夫みたい」

「そ」

ジャッ、と弾倉を再び滑り込ませた後、リラはニューナンブをお手軽な感覚で放ってよこした。危うい手つきでお手玉キャッチをする。

ニューナンブM60。

ミネベア社製38口径シングル/ダブルアクションの回転式拳銃だ。非銃社会の日本で数少ない、合法的に所持が許可されている銃器の中の一つである。主に警察官や皇宮護衛官、麻薬取締官に海上保安官に配布されている。

すでに後継機種による更新が始まっているが、しかし現在でも主力として使用されている。

「中どーだった?」

「ライフリングに傷は見当たらないし、動作不良もたぶん大丈夫。装弾されてたのは、四発しかなかったわ」

ニューナンブの装弾数は
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