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魔法少女リリカルなのは〜"死の外科医"ユーノ・スクライア〜
プロローグ
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こうとしたというのに、君という奴はあっさりと蹴りやがって。一体君は何がしたい?どこぞの偉大な芸術家にでもなる気かい?死後何百年も経って漸くその功績が認められるような人生なんて、僕には理解できないね」
「別に、誰かに認めてほしいだとか、自分の功績を誇ろうだとか、そんなくだらないこと(、、、、、、、、、、)のために生きているんじゃないんだよ、僕はね」

その言葉にクロノは絶句した。

見栄でも意地でもなく、本気で彼はそう考えているんだと理解したからである。

「以前言ったが、僕があえて正式な管理局員にならない理由は、あくまで、外部の人間として、一歩離れた位置からみんなを守るためさ。でも、前回の戦いではっきりとしたよ。やはり、民間協力者といえども、司書長という立場になってしまったせいで、彼女たちを十分に守ることが出来なかった。出来たことといえば、ここでゆりかごのデータをまとめたり、あの戦いに便乗して活動していた小悪党どもを掃除するくらいだけだったからね。」

そう、JS事件において、なにもジュエル・スカリエッティ一味だけが暴れていたわけではない。事件は一度に一つしか起こらないなんて法則はどこにもなく、彼らの地上本部襲撃事件により実質的に犯罪の取り締まりが麻痺してしまったため、彼ら以外の小さな犯罪組織らが活動していたのである。

機動6課以外がほとんどJS事件に参加できなかったのは、負傷者が多発していた以外にそういう背景があったためである。

「本当はもっと早く決断すべきだった、でも、『無限書庫(ここ)にいれば、なのは達の手助けにもなれるし、ここを十分に運用できるのは僕しかいない』って思いがあったからね、決断が遅れてしまったよ。でも、あの事件以降、ここの人員も増えたし、僕の後釜になる人の育成もできた。もうここは僕なしでも十分にやっていけるよ。だからこそ、僕は完全に管理局と縁を切るって決めたんだ。今度こそ、彼女たちを守るためにね」
「しかし・・・」
「これは君と僕の役割の違いだよ。僕は民間人という何の後ろ盾もない、だからこそ身軽な身分を利用して、上層部(うえ)の思想にとらわれずに自由に動ける。でも、そんな僕でも、何より『信用』が必要な所には入れない。そこでは君が動いてくれ、僕の後釜になる人も君に最大限の力を貸してくれるだろう。そして、彼女たちを守ってくれ」

クロノはもう折れるしかなかった。こうなったユーノの決意はテコでも動かないことを知っているからだ。

返事の代わりに、ため息を一つつき、今まで持っていたワインボトルをユーノに差し出した。

「餞別だ。持っていけ」
「大層な品だね。一人で飲むのはもったいないよ」
「なら、旅先でいい相手を見つけることだな。その一杯が似合う相手をな」
「ありがとう。悪友(とも)よ」
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