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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
42.記憶の邂逅
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烈な打撃が雪菜へと襲いかかる。しかし雪菜も呪力をまとった腕で対抗する。
「あなたを立上さんのところへは行かせません」
静かな声の董香。だが、その表情にはどこか迷いがみられた。
「あの人の邪魔はさせません。それが私の役目です!」
董香が迷いから目をそらすかのように突進してくる。彼女の猛攻を必至で回避しながら、雪菜は口を開いた。
「わたしは第四真祖の監視役です。あなたを止めて先輩の元へ行かせてもらいます!」
雪菜は古城と島を護るため。董香は立上の計画の邪魔をさせないため。
揺らぐことのない二人の意思が激突し合うまでのもう時間はかからないだろう。
緒河彩斗が静かな吐息を立てている。
鎖でがんじがらめされているところをみなければ椅子の上で居眠りしているように見えなくもない。
そんな彼を逢崎友妃は銀の刀を握ったまま心配そうに眺めている。
鉄格子が嵌った窓の外は薄明るくなってきた。
鉄錆と乾いた血の臭気が満ちたこの空間こそ、南宮那月の夢で構築された世界、監獄結界。
「……彩斗君」
小さく呟いた友妃の声に那月がわずかに眉を動かした。
「おまえにとってもつらい経験になるであろう。逃げるならいまだぞ」
「いいえ、大丈夫です。ボクは思い出さなければいけない。この気持ちの正体を」
彩斗と初めて出会った時のことだ。友妃はどこかで彼と出会ったことがある気がした。
それは失われた遠い記憶。思い出すことは友妃一人の力ではできない。
「それに一緒に背負うって決めましたから」
那月はふっ、と小さく笑みを漏らした。
「友妃って見かけによらず結構大胆だよね」
隣にいた仙都木優麻が微笑みかける。
えっ?、と声を漏らした。そのときは意味がわからなかった。
しかし不意に優麻が言っている意味を理解して友妃の頬が紅潮していく。
「ち、違うの! そういう意味じゃなくて、ボクはただ彩斗君との約束を……!?」
「そうなんだ。ボクも頑張らないとね」
あからさまに慌てだす友妃に優麻はわざとらしく笑みを返す。
「そろそろ始まるぞ。気を引き締めろ!」
空隙の魔女の言葉に友妃と優麻は眠っている少年へと目を落とした。
これがただの少年が“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”へ変わることになった物語の始まりだった。
窓際の一番後ろの席に座っていた緒河彩斗の顔に容赦なく陽の光が射しこんでくる。
眠気がまだ残る中、彩斗は親友の倉野木綾と幼馴染の神崎志乃によって強制的に叩き起こされたせいで顔からはいつも以上に不機嫌な表情をしている。
「ホラ、早く席につけ」
教室の前の扉から三十代後半くらいの長い黒髪が綺麗
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