第二章
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方、結構お前の事気に入ったってさ」
「うるさいんだよ、ユーキ。それより、ミトが聞かなかったから聞いてやるよ。ユーキはなんでここにいるさね?」
「うん。だって、俺は暫定議会側の味方だ。つまり、トーリ達の敵だな」
うんうん、と頷いて見せる葵・ユーキにミトツダイラは引きつり、直政は口端から煙を吐くだけだった。
●
ミトツダイラ、直政、正純はそれぞれの事情を話した。
事情は違えど、大枠では目的が一致しており、正純に取って味方が増えたと言って良い関係を築けた。
そして、後悔通りを歩く中、葵・ユーキとミトツダイラが遅れ気味に歩いていた。
「ちょっと、ユーキ。どういうつもりですの?」
「どうも何も。トーリ達を傷つけて良いのは俺だけだ」
ミトツダイラは知っている。
彼が木刀を持っている時はわりと本気な時だと。
……あの木刀は、確か妖物、怪異退治用のいわば、実戦用ですの。
そして、木刀なのに硬くて丈夫で、あれで殴られると相当痛い。
だって、アレで岩とか殴り壊せますものね……。
無銘の木刀と言ってましたけど、どこかの神木の素材で作られたとか何とか……。
「怒ってますの?」
「うん」
何に対してか、誰に対してか。
それは言わなくても何となくわかってしまう。
「ホライゾンを救ったらネイトも直政もゲンコツな」
「え! 何で?!」
「とにかくゲンコツな」
……不条理ですの……。
でも、彼は言った。
ホライゾンを救ったら、と。
●
ミトツダイラは前を歩く。
今度は直政が葵・ユーキの隣にいた。
彼女は口端から煙を作るだけで、何も話していなかった。
「……」
「直政」
「なんだい?」
「お前、良い女だな」
直政は口にくわえていた煙管が落ちそうになったが、何とか持ちこたえた。
「いきなりだね」
「ああ、改めて良い女してるよ。お前は」
後悔通りには小さな石碑がある。
直政の視界の端に見えており、彼女は言った。
「ホライゾンのためなんだろ?」
「ああ」
葵・ユーキの行動は全てはホライゾンのためであり、それは弟のためでもある。
それを理解しているから、直政は何も言わなかったし、それに気付いていた葵・ユーキは彼女の事を良い女だと称したのだ。
「そうかい。でも、あたしは本気で戦うよ」
「それで良いさ」
●
後悔通りを抜けて教導院正面の階段に向かう。
「正純。クラスの連中は手強いぞ」
「ああ、うまく説得してみせるさ」
ややあって葵・ユーキは言った。
「トーリは馬鹿のように見えて本当に馬鹿だ。気をつけた方がいい」
「ん? 葵が馬鹿なのは知っている」
「俺の弟だぜ。馬鹿だけどな。救いようのないほど馬鹿だが、アイツはア
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