第二章
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葵・ユーキの言葉通りである。
極東に帰化せず、陸港からK.P.A.Italiaや三征西班牙の保護を受ける動きを見せていた。
武蔵にい続けることが出来無いと悟り、保護が確約されている内に退避を始めている様子を見る武蔵の住人にも動揺は生まれるだろう。
「本当に良いのか?」
「は?」
正純は葵・ユーキに問う。
彼は、何を思ったのか。何を考えているのか。
私の、暫定議会側の味方に付いた。
軽食屋を出る際にこのようなやり取りがあった。
『私は皆を説得しに行くがユーキはどうするつもりだ?』
『正純は俺が助けに入ったら助かるか?』
『それは、助かるが……』
『よーし、なら俺は今からお前の味方だ』
そう言って彼はその旨を暫定議会に通達、私の父から彼を交渉役補佐としろと伝達があり、正式な味方となった。
ユーキの奴は始めからこちら側に付くつもりだったか、随分と手際が良かった。
「教導院の皆に何を言われるか知らんぞ……」
「聞く耳を持たなきゃあいいさ。交渉補佐だし、アイツらの扱いは心得ているから安心しろよ」
私よりも彼の方が皆との付き合いは長い。
だからと言って憎まれ役まで背負わせるわけにはいかないのだが……。
考える途中で、葵・ユーキが立ち止まった。
「ニつ気配があるけど……敵意はない」
後悔通りへ至る自然公園がありそこに入った刹那に葵・ユーキは左右の道路を差した。
「何だ。直政と、ネイトじゃん」
二人はこちらに合流する左右の道路から現れた。
右から来たのが、右腕義腕の少女で口に煙を上げる煙管をくわえた人物であり、左から来たのは長大な黒革ケースを二本背負った少女だ。
「何だい。ミトも一緒かい? それにユーキじゃないか」
「何ですのまた。武蔵内騎士階級代表と政治系代表、機関部代表と、……ユーキがこれから教導院でハシャいでる皆に物言いですの?」
ミトツダイラは確か六護式仏蘭西《エグザゴン・フランセーズ》出身の騎士で、人狼家系だったか。
「ミトツダイラは領主議会でどういう方針になった? 直政は?」
「私の方は、――武蔵内領主議会は、教導院側と相対することで同意致しましたわ」
暫定議会と王に任せておけば武蔵内の領地、各町の所有権を失うことになるが、教導院側の真意も解らない。だから武蔵内の全騎士代表として学生のミトツダイラが来た。
直政も同様であり、武蔵の譲渡が決まると引き継ぎ作業の後にお払い箱であり、食い扶持を無くす。
引継ぎ作業後も引き続き仕事は出来無い。
何故なら、極東の人間に任せておくといざというとき、背かれる可能性があるからだ。
「――解ってるじゃあないか。正純」
「正純って直政とこうして話すの初めてだよな。直政のあの笑い
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