第二章
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たんだがユーキのそれは、武器……だよな?」
少しだけ遠くの世界にいた正純が正気に戻り、いつもとは違う葵・ユーキの持ち物に気がついた。
「警護隊達が所持しているようなブランド品の刀が鞘に収められているように見えなくもないが鞘は改造したもので、実は鞘は只《ただ》の飾りで中身は無銘の木刀だ」
「何だよ、それは……」
えらく遠まわしな言い方だと思う。
なんだかいつもの葵・ユーキとは違う。
私の思い違いじゃなければ葵・ユーキが私に婚約を申し込んだと自覚したのが理由だろう。
彼はあの時、馬鹿になっていた。
だが、今は元に戻っており事の重大さに気付いたのか若干壊れ気味だ。
「なあ、おい。ユーキ。さっきの事は忘れてやるから元に戻れ」
「男に二言はない。それに、素で言った事だから、その、本心から言った言葉だ」
彼は若干顔を赤らめて言った。
それを私に聞いた私も……。
悪循環だ。
もうこの話はしないでおこう。
「で、なんでそんなもの持ってるんだ?」
「アレ? 正純はまだ知らないのか? そういや、幽霊探しの時はいなかったからな」
葵・ユーキが木刀を持つことを知っていて当然とばかりの口調だった。
そして、幽霊探しの時にも木刀を持っていったらしい。
「知らないも何も。私はユーキが木刀を持っているところなんて初め見たぞ」
「む。そういえば、そうか。浅間、アデーレ、直政、ネイトやノリキ、ウルキアガ、点蔵達の相手してっからな。というか、総長連合の連中は全員知ってるし、生徒会の奴らも知ってるはずなんだが、なんで正純だけ知らないんだろう?」
……私だけハブられたのか?
それとも皆知っているから、当然私も知っているだろうという事だろうか。
「その、相手とは?」
知らないことだらけだな、私は。
「ほら、あいつら外道じゃん? ちゃんばらごっこの延長だけどそういう遊び相手であったり、制裁の時に使ったりする」
「おいおい、なんだか物騒だな……」
「だから、ちゃんばらごっこの遊びだって」
それが戦科訓練だったら問題になるかもしれないが遊びならば問題無いはずだ。
居残り訓練といったところか。
しかし、ある意味、彼は武装している状態だ。
「ユーキ。どこまで先を読んでいる?」
「ん? 正純と結婚して、初めは女の子、次は男の子がいいねって話を――」
「そっちじゃない!」
コイツは、木刀を持つと馬鹿になるのか?!
まるで手強い葵・トーリを相手にしているみたいだ。
「正気に戻れ」
馬鹿になった時は外的要因でもとに戻せば良いと女店主から教えられた。
「イテッ……。ああ、すまん」
「で、その木刀を所持している意味は? 私を教導院に連れて行くつもりは? 今後お前はどうするつも
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