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不可能男の兄
第二章
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つまり、ホライゾンは元信公が持っていた三河君主の権限や、聖連に対する極東代表権限。それに武蔵の所有者権限も全部相続しているの」

このままだと、ホライゾンは死ぬ。
それを、たぶん赦さないだろう。
トーリ君の想い人だから。
ユーキ君は、きっと赦さない。

「簡単に言うと、ホライゾンが自害したら、彼女の権限は全部聖連の預りになるの」

つまりは、

「極東が、完全に聖連のものになっちゃうんだよ……」

聖連による極東の完全支配。
何もしなければ高い確率でそうなる。

「ホライゾンが自害したら、極東は聖連のものになる。そこに交渉の余地も何もないの。だから、聖連は、ホライゾンの略式相続確認を急ぎで行なったと思う。そうすれば、元信公の権限をそのまま奪った場合、ホライゾンの相続権限問題が生じるけど、ホライゾンを抱え込んで自害をさせることで問題なく極東の権限を全部奪える」

あえて微笑で聞く。

「降りる? 降りない? 選択は自由」

喜美が苦笑混じりで言った。

「乗る? 乗らない? じゃないのね」
「Jud.、だって、私達は武蔵の住人だもん」



――ホライゾンを救う方法。
武蔵にある軽食屋で葵・ユーキがパンを食べながら、考えた結果をまとめていた。
……もう、十時か。遅刻だなぁ。トーリのフォローで朝まで番屋だったからな。
寝て起きたら八時過ぎてたし、どうせ遅刻ならのんびり行こうじゃないか、と。
とりあえず、昨日の事が現実である事を確認しにここへ来たが、やはりあるべき姿が無かった。
ホライゾン――。
彼女を救う方法は、ある。
聖連と対立《闘争》して、戦い、勝って彼女を奪う。
そのためには、まず武蔵王に預かられた権限を取り戻すところから始めなければいけない。
キーパーソンは、本多正純だろうな。
おそらく、クラスメイトの奴らも正純を味方に引き入れる為に動くはずだ。
ならば、先んじて正純とコンタクトを取っておくのも悪くないかもな……。
葵・ユーキがそう思った瞬間に、軽食屋の扉が開いた。
入ってきたのは、長髪の男子制服姿の本多正純であった。

「――ユーキ?!」
「よう、正純」

運がいい。ここで飯を食った後に正純の元へ行こうと思っていたんだが、目的の人物が訪れてきた。

「お前、授業はどうした?」
「正純こそ、どうして教導院に行ってないんだ?」



昨夜の出来事をまとめた議事録を確認して気付いた時には夜明けになっていた。
私なりにホライゾンを救う方法を、無理だと思いつつも対処をまとめあげ、書き上げていた。
……少なくとも、自分達にも正当性がある、と叫べる方法があるが。
私は、聖連の意見を飲む暫定議会派で、未熟だ。
そして、暫定議会から今日は教導院に行くな
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