第二章
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
じっとしていたわけではなく、静かにしていたわけでもない。
皆の前に立ち、言葉を送っている者がいた。
シロジロの横席にいるはずのハイディだ。
彼女は、表示枠《サインフレーム》を幾つも並べて笑顔で辺りを見回していた。
「えーと、欠席はミリアムにマサにミト。それにセージュンと東君ね。ユーキ君は遅刻かなぁ。たぶん」
たぶん、と言ってハイディは窓際の一番後ろの席を見た。
そこにトーリの姿があるが、起きてない。
……昨夜に番屋で朝まで怒られてたんだっけ。そのあと、朝一番で学校来て寝ちゃったから動けないか。番屋でユーキ君は、トーリ君のフォローしてたみたいだけど、その後、行方不明か。相変わらずよねぇ。
トーリ君のフォローするのはユーキ君くらいだものね。
「とりあえず、現状だけど、ぶっちゃけホライゾンと武蔵がピンチね」
そのピンチにユーキ君は何してんのかしら。
「武蔵は三河の代わりに移譲して、私達武蔵住人は江戸の松平領に移送。ホライゾンは保有禁止である大罪武装の抽出と三河消失の責任を取って自害することになってるわ」
それをどうにかするには今の私達では何も出来無い。
何故なら、
「私や会計のシロ君、書記のネシンバラ、総長兼生徒会長のトーリ君。その権限をヨシナオ王に預かられちゃて何も言えない状態ね。副会長のセージュンは権限奪われてないけど、暫定議会はセージュンを自分達側に抱え込むことで聖連側につくって感じで、とにかく揉め事せずに済ませることを考えてるみたい」
だからこれからどうするか。
「これから全員の方向性の確認ね」
出来れば、ユーキ君がいたほうが話が早くて済むんだけど。
「色々と障害はあるけど、そういうの無視でホライゾンを救ったり、武蔵の移譲を止めた方がいいと思う人?」
私は、自分で問いかけて自分の手を挙げた。
だが、皆誰も手を挙げない。
こう言う時、引っ張ってくれる人がいればいいんだけど。
「あれ? 誰も手を挙げないの?」
「判断材料が無い。それを先に言ったらどうだ」
ノリキが答えた。
それに応じて、ファッション雑誌の要所をハサミで切り抜いている喜美が言う。
「殆どの人は、巻き込まないでくれって感じじゃない? 暫定議会や武蔵王はホライゾンの自害を認めて武蔵を移譲する気なんでしょ? だったらそっち側に流されて何の責任も自分達にはないって逃げ打つのがほとんどじゃないかしら。――誰もが考えるベストは、ホライゾンなんてどうでもいいから、武蔵の移譲だけは勘弁してくれ、じゃないの? その方が交渉の余地ありそうだしね。どうなの?」
ハイディはちらりと窓の外、陸港の方へと視線を送る。その上で、彼女は答える。
「Jud.、ホライゾンは略式だけど、嫡子相続を確認されたの。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ