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姉を慕い
第七章

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第七章

「とても」
「はい」
 その質問にはだ。正大はこくりと頷いた。
「その通りです」
「お姉さんはきっと天国で正大さんを心配されて。それで」
「神名さんを」
「そうだと思います。だからです」
 こう話してであった。
「それで私と巡り合わせてくれたんだと思います」
「そうだな」
「あの娘も正大をいつも気にかけていたから」
 両親もだ。ここまで話を聞いて言うのだった。
「そうだろうな」
「本当にね」
「そうなんだ」
 正大は腕を組んでいた。そのうえで心から考えていた。
 そうしてだ。また話すのであった。
「じゃあ僕は」
「先に進め」
「今言った通りね」
 両親からの言葉だった。
「わかったな、もうな」
「追いかけたりしないでね」
「うん」
 正大も二人の言葉に頷いた。そうしてだった。
「わかったよ、先に進むよ」
「宜しく御願いします」
 神名は微笑んで言ってきた。
「これから」
「はい、御願いします」
 正大もこう返した。
「それじゃあ」76
「二人で先にですね」
「進みましょう」
 また二人で話す。
「これからずっと」
「そうですね、二人で」
 こうしてであった。正大は過去を振り切ることができた。そうしてだ。
 それからすぐにであった。二人は結婚したのであった。
「えっ、学生結婚かよ」
「それかよ」
「うん、しかもね」
 正大は驚く友人達にだ。笑顔で話すのであった。
「卒業してからの就職先も決まったしね」
「ああ、本屋さんか」
「そこか」
「奥さんの実家が実は大きな本屋さんでね」
 そこだというのである。
「あの本屋に勤めているのはさ。親戚の言うならチェーン店らしくて」
「それであそこにいたのか」
「成程な」
「十店舗位あってね」
 その店の数も話す。
「そこに決まったよ」
「何かいいこと尽くめだな」
「全くだな」
 友人達はここまで聞いてだ。そのうえでまた頷くのであった。
「結婚して就職も決まって」
「幸運が続くよな」
「前に進んだからかな」
 正大はその理由について自分で話した。
「だからかな」
「前に進んだ?」
「それってどういうことだよ」
 彼等にはわからない話だった。これは正大だけがわかることだった。
「それってよ」
「何なんだ?」
「ああ、こっちの話だから」
 それは話さなかった。
「何でもないよ」
「ああ、そうか」
「ならいいけれどな」
「それでね」
 そしてだ。彼はまた話した。
「今度だけれど」
「今度は何だよ」
「何があるんだよ」
「パパになるんだ」
 にこにことして言ったのだった。

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