第26話
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味だ?」
「言葉通りだよー。頭の天辺から爪先まで私特製の最近IS、それがこの子!」
俺は博士の言葉に戦慄した。まるで生身の少女が、ISだと言うのだから。
少女は胸元から臍までが開いた服と短いスカートの、白基調のルックス。やはり昨日と同じく、表情に変化はない。
俺がアルファーとやらを見ている間に、博士は紅椿の初期化をあっという間に済ませ、一夏の白式を見ていた。
間にオルコットが博士に声をかけたが、にべもなくあしらわれた。余程親しい間柄でなければ、会話する価値も無い、というわけか。
「んじゃ試運転もかねてそこのヴァンガード君と戦って見てよ。箒ちゃんの想像以上に戦えるよ」
「ナチュラルに指名されただと!?」
今回は無関係と背を向けていたのに、予想外の御仁からの指名。周りを見る、目を逸らされる。ゼロを見る、ぶっ潰せと言わんばかりにサムズアップ。俺に味方は居ないらしい。
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「では行くぞ、丹下」
連結されていたケーブルが外れ、篠ノ之が目を閉じ意識を集中させると、一瞬で遙か上空に飛翔した。その余波で生じた衝撃波に顔をしかめ、その動きに少々驚かされた。
篠ノ之はオープンチャンネルで博士と会話しながら、両手に刀を抜き取る。二刀流、にしては長さは同じ程度、攻防一対の備えになっていない。まあ、エネルギーシールドの存在が攻めを重くさせるか。
博士の解説を受けながら、篠ノ之が右の刀を左肩まで上げて構え、突きを放つ。すると、周りに赤色のレーザ一光が無数の球体として現れ、一気に襲いかかってきた。スフィアを出して防ぐ。前方が真っ赤になるほどの量だ。
続けて、左手の刀を一回転するように振るう。今度は赤いレーザーが帯状になって広がり、スフィアを真っ二つにした。
「─やれる!この紅椿なら!」
篠ノ之が自信を持って宣言する。確かに高性能だ。以前の俺なら負けていた。『以前の俺』、ならば。
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私、篠ノ之箒のIS、紅椿のセンサーが下からの攻撃を認識し、受け止めて驚愕した。
スフィアの破壊で発生した煙で姿を隠し、直撃と誤認させて反撃して見せたのだ。驚いたのはその上、
「ブーメラン…!?」
右の刀、『雨月(あまつき)』で受け止めているソレは、高速回転する翡翠色のブーメラン状の刃。足のエッジは剣にしかならないと思っていたから、動揺を隠せない。
姉である束も少しびっくりしているので、丹下の隠し技というわけか。
雨月で弾くと、エッジは分離し、弧を描いて丹下の足に再び装着された。
「それがお前の奥の手か、丹下?」
「いや?まだまだバリエーションあるけど、次の一発で決めるし」
丹下に全く動じた様子がない。何なんだ、この丹下の余裕は!
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