第三十話 ルミネ
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イレギュラーハンターとなると、イレギュラーの始末が仕事だと思われがちだが、そうではない。
施設の警護などを任されることも多々あり、特に重要施設ともなると、トップクラスのハンターが向かうこともある。
ルナ「…こんなもんかね」
ヤコブの管理者直々の指名を受けたルナはヤコブの警備についているハンター達からの報告書を纏めると溜め息を吐いた。
ルナ「だりぃ…」
ハンターとして出撃することもなく、文書を扱うだけの職場に早くも辟易していた。
面倒くさい。
今の彼女の現在の心境をいうならば、この一言に全てが集約されるといっていい。
絶え間なく続く事務仕事。
書類の作成。
確認。
ヤコブ計画関係の重役との今後の方針についての話し合い。
ルナの戦闘能力の凄まじさはジャンク屋時代からのジャンクパーツ収集やイレギュラーが起こした事件で得た経験により、コピー能力を持つ新世代型レプリロイドのプロトタイプでありながらそこらの戦闘型の新世代型レプリロイドを遥かに凌駕している。
彼女のその事務の能力も決して低いわけではない。
話し合いも向こう側に警戒心を持たれないように話すこともでき、信頼関係もそれなりに築いているといっていい。
だがそれでもルナの本領は戦いやパーツや武器作成等にあり、事務能力が低くないとはいえ、人並み程度なのが精々だ。
時間の大部分をそちらの仕事にとられ、ストレスが溜まり、鬱憤晴らしにトレーニングするも、つまらなさを感じる日々。
率直にいって、彼女はこの数ヶ月の間繰り返される日々に、苛立ちを感じていた。
決して表情には出さなかったが。
いつもいつも与えられる事務仕事。
1つの決断の誤りが致命的な失敗をもたらすことがある。
必要なことだとは理解してはいても、それでも嫌なものは嫌なのだ。
ルナ「大体、事務仕事なんざ…俺より向いている奴なんかごまんといるだろ…気分転換に外に出るか…」
ルナは伸びをしながら外に出た。
高く聳える建造物に、鉄の箱が昇っていった。
宇宙まで達する建造物は人類の希望を乗せ、瞬く間に運んでいく。
箱が走る様は酷く機械的で、“希望”や“夢”など、そんな陳腐な言葉は酷く不釣り合いだ。
乗せられた物が鉄の塊であるがために一層無機質に映る。
ヤコブ計画
繰り返されるレプリロイドの騒乱により地上は荒廃し、人類は月への移住計画を進めた。
この計画のため、“ヤコブ”と呼ばれる軌道エレベーターが建造され、高性能な新世代型レプリロイド達が月面作業のために宇宙に運ばれていった。
ルナ「……地球を捨てて月
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