≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その肆
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間がなったほうがいいと誰もが思っているのだろう。
しばらくの間、ディアベルは名乗りを待っていたのだが立候補者がいないと分かると、すぐに切り替えて「じゃあこっちで決めとくよ!」と言い、最後にディアベルの士気を上げる効果を持つ言葉で今回の会議は終了した。
今回決まったことと言えば、サブリーダーとベータテスターの対処の保留だけだった。ボスの情報が何もわからない以上、それは仕方のないことなのかもしれない。
「さて、これからどうする? 俺はもう寝ちゃおうかなって思うんだけど」
そう言って俺は立ち上がり体をぐぐっと伸ばした。空は既に暗い紫色になっている。今日はただの顔合わせだったが随分と時間が経ったものだ。空の暗い色が増すたびに、トールバーナの広場に集ったプレイヤー達もまばらに帰っていく。ある者は門限の迫った子供みたく名残惜しそうに。ある者は放課後に喜ぶ少年のように。
俺の問いにインディゴは、遊びの約束のような軽い感じで答えた。
「私は宿に帰るわ。でも明日、迷宮区に潜るつもりなんだけど、そうね、一緒にどうかしら?」
「おっいいね! んじゃフレンド登録しようぜ」
一日にも満たない付き合いだったがインディゴとは話が合うことがわかった。できるならフレンド登録をしておきたいと思う。
インディゴの返答よりもずっと早く、俺はインディゴにフレンド申請を送った。向こうはフレンド登録画面で承諾拒否できるのだからこちらとしては気兼ねなく送ることができる。
インディゴは突然開いた小ウィンドウに少々驚いたように目を細め、口を開いて声を出した。
「ん……ありがと」
少々気恥ずかしそうにインディゴはそれを承諾した。
俺は座ったままのインディゴの正面に立って、立ち上がりやすいように手をさし伸ばす。
「これから長い付き合いになると思うけどよろしくな、インディゴ」
「長い付き合いかどうかはまだ判らないわ、よろしくねスバル」
俺はこの時初めてインディゴの笑顔を見た。街灯が点いた拍子につい零れたかのような彼女の笑顔にはドキリとするものがあったことをここに認めよう。
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