第六話***初仕事
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X786年 フィオーレ地方 マグノリア
「ロメオと一緒に仕事に行ってくれないか」
「……え?」
ギルドに入って一週間。
そろそろ慣れてきたし、一人で簡単な依頼でも受けようかと思い、クエストボードを眺めていた時いきなり声をかけられたのだった。
「……いやいや、マカオさん……マスター。いきなり、どうしたんですか?
ロメオ君と仕事に行け、だなんて」
クウヤは笑い、意図を問う。
ロメオはマスターの息子。
いつも巻いている白いマフラーがトレードマークの少年である。
昔は明るかったそうだが、二年前、ギルドの主要メンバーが行方不明になった事件以来笑わなくなったらしい。
口数も少なく、同い年だがクウヤもほとんど話した事はなかった。
「……いや、ロメオ、昔から魔導士の息子ということでからかわれて、友達も少なかったんだが、あの事件以来笑わなくなって、友達も今、居ないみたいなんだよ」
「え……、まさか」
クウヤの頭にある仮説が思い浮かんだ。
「オレにロメオ君と友達になれとか言いませんよね……」
「言うんだよな、それが」
クウヤの頬を冷や汗が伝う。
「まあ、お前もまだマグノリアに来たばかりで友達居ないだろう?ロメオと友達になってくれれば友達も出来るぞ、それにロメオはまだ正式にギルドに入ってないから報酬も全部入るし……」
「………………………………どんな依頼ですか」
永遠に続きそうな説得に観念し、依頼の内容を問う。
「受けてくれるのか!この依頼だよ」
マカオは懐から依頼用紙を取りだし、クウヤに渡した。
「……えーと……荷物持ちか……え?一日買い物に付き合うだけで10,000J!?」
普通この手の依頼は2、3,000Jもあればいいところである。
三ケタの場合もあるのだ。
高すぎる依頼にクウヤはおののいた。
「……何か裏があるんですか?」
「いや、ない。この依頼人のお婆さんは、普通の女性だ。しかし、足が悪くて、身寄りのない独り暮らしでな。余り外出出来ないからたまにまとめ買いして、ギルドの魔導士に手伝ってもらうんだよ。お金は沢山持っているが、もう使い道も無いから若くして頑張っている子供達にあげよう、という事らしい」
だから、この破格だ。裏などない、10年以上のお得意様だ、とマカオは言った。
10年以上も付き合っているなら、危険もないだろうし、家賃や生活費も必要だし、クウヤは依頼を受ける事に決めたのである。
「………………ごめん」
「…………へ?いきなりどした?」
ロメオと依頼人の家に向かって歩いていると、いきなり謝られて、クウヤは面食らった。
「……いや、この依頼、絶対父ちゃんが強制しただろ
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